インターネット上の仮想空間「メタバース」を制作・運営する宮城県多賀城市の団体「Player4(プレーヤーフォー)」が、メタバースに市内の魅力を詰め込んだ「博物館」を開設しようと作業を進めている。今年は多賀城創建1300年。市が11月に予定する記念式典や南門の一般公開までに完成させ、祝賀ムードを盛り上げたい考えだ。

■「政庁跡見たい」思わせる展示に

 プレーヤーフォー代表で団体職員の櫛田洋一さん(37)=多賀城市=が、多賀城政庁跡やアヤメといった市を象徴するモチーフの3Dモデルなどを展示しようと設計を考えたり、写真を撮りためたりしながら制作を続けている。
 「博物館」では利用者が自身の分身の「アバター」を動かし、写真や3Dモデルに近づくと説明文が読める仕掛けを盛り込む。QRコードからアクセスし、誰でも無料で楽しめるようにする方針だ。
 櫛田さんはコロナ下の2021年、博物館などのオンライン見学が広がっているのを知り、団体を立ち上げた。引きこもりなどでイベント参加が難しい市民らのつながりづくりに、ネット空間が活用できるのではないかと思い立った。

 もともとコンピューターに通じ、半年ほどでメタバース制作の技術に習熟。深谷晃祐市長と若者が実際に対話する催しに並行して展開する「メタバース対話」の空間を作ったり、近隣市町でメタバース体験会を開いたりしてきた。
 23年6月から無償で「博物館」開設に取り組む。櫛田さんは「市民はもちろん、多賀城政庁跡を訪れたことがない人にも利用してもらい、『本物を見てみたい』と思わせる魅力を出したい」と話す。