兵庫県姫路市から県道豊富北条線を通り、加西市に入って数分。山下町でふと西に目をやると、何とも立派な天守が。同町には山下城跡があるが、城跡だけだったはず…。

 1995年、土木・建築会社を営んでいた故松本義明さんが、社員用に建てた厚生施設という。鉄骨3階建ての1階は56畳の大広間、2階にはサウナと露天風呂。3階からは小野市まで見渡せる。

 隣の住宅で暮らす家族によると、モデルは愛媛の松山城。松本さんは各地の城を見て歩き、よろいや刀も購入していたという。

 時折「どんなお殿さまが住んでいるんですか」と訪ねる人もいるそうだが、会社の縮小に伴い、現在は残念ながら「物置状態」。「有効に使ってくれる人がいれば」と、家族は「新しい城主」を探している。(敏蔭潤子)