2009年の東京モーターショーでは、ダイハツはチャレンジングなコンセプトカーを出展していました。一体どのようなモデルなのでしょうか。

シンプル×自由度の高い「バスケット」 現実的なモデルだった

 軽自動車の“スペシャリスト”として言わずと知れたダイハツ。そんなダイハツは軽自動車という枠の中で新たな車型を生み出そうとさまざまなコンセプトカーを生み出してきました。
 
 2009年に開催された「東京モーターショー」に出展された「バスケット」という車種も、そんなチャレンジングな1台です。

 コンセプトカーというと、近未来的なギミックが盛りだくさんで、インパクトの大きなモデルが注目を集めます。

 そのため、メーカーもそういったモデルを多く展示しがちですが、このバスケットはそれらとは真逆で、シンプルを追求したようなレトロなルックスが逆に目を惹くものとなっていました。

 車名のバスケット=手さげカゴが意味するように、持ち手のようにAピラーとBピラーのみが残されたオープンボディはどこか往年のカブリオレモデルを彷彿とさせるようなデザイン。

 ライトグリーンのボディカラーも相まってコンセプトカーでありながらレトロな風貌です。

 もちろん常にフルオープンというワケではなく、手動ながらルーフパネルとリアにキャンバストップを装着できるようになっているため、不意の雨などでずぶ濡れになってしまうこともありません。

 ただ、その車名は見た目の形状だけではなく、実際に手さげカゴのように荷物もしっかり積めるように考えられていました。

 リアシートを前方に倒せば軽トラックのようなフラットな荷台に早変わり。ボディ後端は軽トラックのように手前方向に倒れるゲート式となっており、1方開の軽トラックのような使い方も可能となっているのも特徴です。

 軽トラックのようにフロントシート後方に隔壁もないため、長尺物が積載できるだけでなく非常に解放感溢れるオープンエアモータリングも楽しめるという非常に贅沢な1台に仕上がっていました。

 インテリアはエクステリアカラーを効果的に用いた(つまり「鉄板むき出し」)ドアパネルや、メーターやオーディオがまるで棚の上に置いてあるかのようなインストルメントパネルは、いわゆる「クラシックミニ」やフィアット「パンダ」(初代)を思わせるもの。

 実際に使用するユーザーがカスタマイズする余地が残されているようなデザインにも好感が持てるところです。

 その淡いグリーンのボディカラーから、日産のパイクカーシリーズである「フィガロ」を思わせるという声もありましたが、そのフロントマスクのデザインは2018年に登場した“癒し系軽自動車”の「ミラトコット」に通じるものも感じ取れます。

 残念ながら、この斬新なボディタイプは市販化とはなりませんでしたが、今後もダイハツの新たなチャレンジに注目していきたいところです。