京都〜奈良〜和歌山の内陸ルートをむすぶ高規格道路「京奈和自動車道」が、気づけば全通間近となっています。開通するとどう便利になり、今はどういう工事状況なのでしょうか。

最後の「ブツ切れ」2区間どうなった?

 京都〜奈良〜和歌山の内陸ルートを信号無しでむすぶ高規格道路「京奈和自動車道」が、気づけば全通間近となっています。
 
 とはいえ、その最終段階の部分が、なかなか進んでいないのが現状。今はいったいどういう工事状況なのでしょうか。

 京奈和道は、京滋バイパスから南下し、城陽・木津・奈良・大和郡山・橿原・五條を経て和歌山市内で阪和道に接続する、全47.5kmの高規格道路です。

 2000年に最初の区間、城陽〜木津が開通しました。その際は京都〜和歌山をつなぐ壮大な計画とはあまり認識されず、城陽市や京田辺市から、奈良方面へ悲願の直結バイパス道路が誕生したという位置づけでした。

 それから2010年代にかけて怒涛の建設ラッシュがあり、和歌山県内の紀ノ川沿いルートや、奈良盆地に至るまでが、どんどん開通していきました。下道の国道24号は各所で渋滞ポイントに悩まされてきましたが、北から南から、主要高速道路との直接アクセスが実現し、信号待ちや交差点とは無縁の移動が可能となっています。

 とはいえ、残る未開通区間が、まだまだ工事段階のまま続いています。

【大和北道路】奈良北IC〜西名阪・郡山下ツ道JCT(12.4km)
 奈良市中心部を抜けていく区間です。国道24号は4車線道路ですが、交差点ごとに信号待ちが発生し、交差道路も交通量が多いため、渋滞の温床となっています。

 奈良ICを境に、南と北で大きく異なります。南半分は国道24号に沿って高架道路となりますが、北半分は国道24号から大きく東にそれて、ほぼ全線が「地下トンネル」で、近鉄新大宮駅付近をくぐりぬけて、京奈道路へ接続する形になります。

 南半分が2008年、北半分が2018年に事業化しています。南半分は2019年にようやく着工したばかり。用地取得率は9割を超え、すでに高架橋脚の工事が一部で始まっています。

 ここはNEXCO西日本とのあいだで「合併施行」となっています。将来的にNEXCO西日本の有料道路として開通しますが、国が建設にしっかり関わることで、早期完成が可能になるわけです。

もうひとつの「未開通区間」そして「構想段階で止まっている」区間は!?

【大和御所道路】橿原北IC〜橿原高田IC(4.4km)
 もうひとつの「ブツ切れ」区間が、橿原市内の1区間です。橿原北ICを南下すると、高架から一気に地下トンネルとなり、近鉄大阪線や中和幹線をくぐりぬけます。今度は一気に高架へ駆け上がり、今度はJR桜井線と国道166号をまたいでいきます。そして大和高田バイパスと「橿原JCT」で交差し、残る京奈和道の開通済み区間(和歌山まで全通済み)につながります。

 大和高田バイパスは南阪奈道路の延長線上にある高規格道路で、大阪へ直結する貴重な大動脈です。この大和高田バイパスへ交通の流出入が多くなっていますが、京奈和道がこの部分だけ未開通で、平面交差点の信号待ちになっているため、大渋滞に悩まされています。沿線を中心に、一刻も早い開通が要望されています。

 気になる工事進捗ですが、大和高田バイパスと空中接続する「橿原JCT」のランプの橋桁が、どんどん架かっている状況です。

 国道24号や大和高田バイパス、近鉄南大阪線をそれぞれまたいでいくため、交通に支障の無いよう注意しなければなりません。影響の少ない夜間に、「送り出し工法」などで一気に架設していきます。

 担当する国土交通省 奈良国道事務所のSNSでは、橋桁架設の様子が頻繁に公開されています。最近でも3月14日、4月5日に相次いで「一夜にして橋が出現」する様子がタイムラプス映像で見られるようになっています。

【京奈北道路】京滋バイパス〜城陽JCT・IC
 京奈道路は城陽ICで終わっていますが、そこから北は、国道24号がまっすぐ京滋バイパス方面へ直通しています。

 この区間も、平面交差点の信号待ちが多く、朝夕に渋滞が発生します。そこに高架道路でまっすぐ京滋バイパス方面へ直結するのが、京奈和道の「最後の未事業化区間」京奈北道路です。

 ここは事業化する気配が無く、近畿地方整備局の2024年度の調査検討予定にも入っていません。順番としては、まずは今進んでいる2つの区間の完成を最優先したい構えかもしれません。