2023年から、SNSを使った詐欺の被害が全国的に急増しています。高知でも、10年前の過去最悪の詐欺被害額にせまろうとしています。その便利さからもはや欠かせないものになっているSNS。一体どのような手口の詐欺が相次いでいるのか、取材に当たった六車記者と共にお伝えします。

■六車はなこ 記者
よろしくお願いします。まずは、SNS型詐欺とはどのようなものなのかを説明します。大きく分けて2つ、投資詐欺とロマンス詐欺の2種類です。

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投資詐欺とは投資をすれば利益が得られると相手に信じさせ、現金をだまし取る手口です。ロマンス詐欺とは、アプリなどで知り合った相手に恋愛感情を持たせて、架空の事実を口実に現金をだまし取る手口です。

警察庁が初めて集計した2023年の全国での被害額です。「投資詐欺」はおよそ277.9億円、「ロマンス詐欺」はおよそ177.3億円という被害額で、年間を通して見ていくと右肩上がりなのがわかります。

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県内でも2023年の秋から増加し、2024年に入ってから29件でおよそ4億5842万円の被害が出ています。

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「特殊詐欺」という言葉はこれまでも長くニュースで伝えてきましたが、確かに「SNSで」という被害を伝える機会がここ最近多くなってきたと感じます。特殊詐欺としての統計と分かれたという話も聞きました。

■六車はなこ 記者
全国で被害が拡大したことから警察庁は統計を特殊詐欺と分け、全国の都道府県警に通達しました。高知県警も今年度から、SNS型の手口を独立させて統計や注意喚起を行っています。2024年の県内の被害をみても特殊詐欺の被害額はおよそ9490万円で、SNSを使った詐欺の方が被害が多いことが分かります。

被害額が増えてしまう背景というのはどのような要因があるのでしょうか。

■六車はなこ 記者
SNS型の大きな特徴として、まず「信頼関係」を築くということがあります。被害者を安心させてやりとりを続け、そこから2、3か月という長期にわたって、お金をだましとるケースがあります。そのためおのずと、1人当たりの被害額も増えてしまうというわけです。

SNSという顔の見えないやり取りの中で、どのように「信頼関係」を築き、信用させていくのでしょうか。

■六車はなこ 記者
SNS型の中の投資詐欺の被害の多くは、例えばこのような広告から始まります。

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「必ずもうかる」という文言や著名人の写真や名前を使った偽の投資広告が表示され、タップすると著名人のSNSアカウントの登録を進められます。

全国ニュースでも、著名人が無断で氏名や写真を使用されたと訴えていたのが話題になっていましたね。投資ブームというのも背景にありそうですね。

■六車はなこ 記者
アカウント登録後、グループチャットに招待され、このように「投資をして大きな利益を得ることができた」であったり、「先生のおかげで簡単にもうけることができた」など、利益が簡単に得られたようなコメントがあり、被害者はどんどん信用していきます。

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こういったコメントをたくさんの人がしていると信じてしまいそうにはなりますよね。

■六車はなこ 記者
さらに犯人がいう「投資」を始めると、偽の投資運用アプリで、利益を得ているように錯覚させられます。

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一度相手を信用してしまっていたら、アプリ自体を疑うこともないでしょうし、利益が出ているように見えると、もっと儲けたいという考えになりそうですね…。

■六車はなこ 記者
藤崎アナウンサーが言う通りで、県警も「一度信じると、疑いの目がもてなくなる」と話していました。そして、儲けたお金をいざ引き出そうとした時。「手数料が必要」などと言われて手数料を振り込みますが、投資したはずの金銭を引き出すことは出来ず、さらには、「口座が凍結され、解除にはお金が必要」などとさまざまな理由で振り込みを続させられてしまい、ようやく詐欺だったと気づくというケースが多いといいます。

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ここまでくるまでに数か月かかることもあるでしょうし、気づいたときには、遅かったということですね。信用してしまっていると最後まで気づかないこともあるでしょうね。

■六車はなこ 記者
ロマンス詐欺も、少し似たような傾向があります。こちらは、マッチングアプリなどを通じて知り合った相手に、SNS上で恋愛感情や親近感を持たせて、現金をだまし取るものです。

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投資を進めたり、外国人に扮して、面会のための海外への渡航費用を求めたりするなど、その手口はさまざまです。

こちらも投資詐欺と同じく、信頼関係を築いてからということですよね。「信じてしまうと気づきにくい」ということですが、それでも、何とか見破るポイントはないのでしょうか。

■六車はなこ 記者
取材した県警はポイントとして、「振り込みに指定された口座」に注意してほしいと話しています。

(県警生活安全企画課 近藤秀明 課長補佐)
「お金の振り込みには特に気をつけてほしい。個人の口座に振り込むように要求されるものは、ほぼ詐欺と思ってほしい。振り込み先の口座が変更になるのも詐欺を見破るポイントになる」

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■六車はなこ 記者
また、SNSを使った詐欺は、被害者の年齢が幅広く、特殊詐欺より若い傾向にあります。今年発生したSNS型詐欺29件のうち、被害者は、60代以上が17件で、12件が50代以下となっていて、なかには20代の被害者もいるということです。

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(県警生活安全企画課 近藤秀明 課長補佐)
「SNSは非常に便利な道具だが、十分な知識がなければ危険もはらんでいる。1つのSNS記事を信用するだけではなく、気になる記事があったら、他の検索をかけてみて間違いないか、また警察と公共機関に問い合わせをするのも(詐欺を)防ぐ手段なのでやってほしいと思う」

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■六車はなこ 記者
SNSという身近なツールが悪用されているからこそ、疑いの目を持てなくなることもありますし、詐欺だと気づくのに時間がかかってしまいます。もちろん、非難されるべきは犯人ではありますが、便利なSNSを当たり前に利用しているからこそ、私たち自身も、会ったことのない人とのやり取りに十分に注意するなど、心がける必要があります。

ここまで六車記者とお伝えしました。