全日本空輸の井上慎一社長(66)は28日までに共同通信のインタビューに応じ、需要減が懸念される国内の地方路線を「国益を支えるインフラ」と位置付けた上で「(路線の)維持に向けて最大限の努力をする」と語った。新型コロナウイルス感染症の5類移行から1年がたち「需要は総じて回復に向かっている」との見方も示した。

 震災復興を支援する羽田―能登線などの役割に触れ「地方路線を企業の都合で改廃していいのかという意識は常にある」と強調。需要の掘り起こしのため、各地への旅行の特色を伝えるPR強化や、同社の国内線では現状3%程度にとどまる訪日客の利用増に取り組む考えを示した。

 コロナが収束し、国内のレジャー需要は力強く伸びる一方、出張利用は「(以前の)7割超の水準が続くだろう」と分析した。その上で、イノベーション創出に向けた企業間交流の活性化や、生成AI(人工知能)による偽画像への警戒などから対面での交渉を重視する企業の増加が、航空利用の追い風になると期待を寄せた。