ビジネスの世界は大抵、夜型の人よりも早起きの人に有利です。

夜型の人にとって、午前8時30分の会議に参加することは恐怖でしょう。朝型になろうと試みても、目覚ましのスヌーズボタンを押さずにはいられない。これでは、毎朝フラストレーションを感じてしまいます。

しかし、早起きが苦手な人も早朝の時間帯を諦めなくて大丈夫。無理なく早起きになるための10のアイデアをご紹介しましょう。

1. 起きる時間は「15分刻み」で数日〜1週間は続ける

目覚ましのアラームを早めに設定すれば、必ずしも早く起きられるわけでもありません。

もし、いつも定刻になるまでスヌーズボタンを押しているのであれば、あなたの体は起きるための準備の時間が必要なのでしょう。

午前5時に起床すると、たしかに静かな時間を長く確保して作業を進めることができます。しかし、もし通常の起床時間が午前8時30分であれば、すぐには午前5時に起きるリズムは実現しないでしょう。午前7時45分に起きることすらできないかもしれません。

結局のところ、目覚まし時計を調整するという単純な方法で長期的な変化をもたらすのは難しいのです。

その代替案として、『Sleep Smarter:21 Proven Tips to Sleep Your Way to a Better Body, Better Health and Bigger Success』の著者であるショーン・スティーブンソン氏は、次のように主張します。

そもそも体内時計とは、体が生活全般とどのように調和しているかを規定しているもの。だから、その調和を変えると、余波が生じます。

たとえば、45分早く起きることは、自宅内で時差を自らつくり出してしまうということなのです。とはいえ、数日間だけ目覚ましのスヌーズボタンを押し続けたら、最終的に体が体内時計を自己調整してくれるのですが、より自然に行なう方法があります。

その方法とは、徐々に起床時間を変更すること。さらに、スティーブンソン氏の解説によると、多少の期間を設けるのがよいのだそう。

起床時間を15分ずつ早め、それを数日から1週間続けてください。特に、一貫した睡眠パターンを確立したい場合には、これが重要です。

2. 早く寝床に就く

早起きをしようとする一方で、寝床に就く時間は今までとおりだとすると、問題が生じる恐れがあります。当たり前のことのように感じるかもしれませんが、見落とさないようにしましょう。

カリフォルニア州パシフィックパリセーズにある Concierge Choice Physiciansに所属する睡眠専門家であるデーモン・ラスキン博士はこれについて、次のように指摘しています。

私たちが深い回復睡眠を得るのは、レム睡眠が起こる早朝の時間帯。そのため、もし睡眠時間を短くすると、十分な睡眠がとれずにリフレッシュされない感じがするでしょう。

十分な睡眠をとるために、新しい起床時間を考慮して、十分な睡眠を確保する必要があります。大半の成人は、1日に7時間から9時間の睡眠が必要です。現在では、スマートウォッチやフィットネストラッカー、携帯電話に内蔵されたツールがありますので、最適な睡眠時間を知ることに役立ちます。

必要な睡眠時間がわかったら、起床時間からその睡眠時間を引き、そこから進めましょう。

3. 眠りやすい習慣をつくる

起きている状態からすぐに眠ることはできません。そのため早く就寝するためには、寝床に就く準備も早める必要があります。

寝床につく時間のアラームを設定してもよいでしょう。そのアラームが、就寝に向けたリラックスタイムに入るべきだと知らせてくれます。

睡眠の質に影響するので、少なくとも寝る1時間前には電子機器から離れましょう。スティーブンソン氏の指摘は次のとおり。

健康に関してほとんどの人が、300カロリーのブロッコリーと300カロリーのトゥインキー(Twinkie:スポンジケーキのお菓子)が体にとって同類ではないことを知っています。

睡眠もこれと同様です。残念ながら、現代では多くの人がトゥインキーのような睡眠をとっているため、適切な脳活動が行なわれていません。これは、電子機器がメラトニン(睡眠周期を制御するホルモン)の生成を抑制しているからです。

スティーブンソン氏によると、電子機器から発生するブルーライトに1時間さらされるたびに、メラトニンの生成が30分抑制されるのだそう。彼は「8時間の睡眠をとっているかもしれませんが、それでも起きたときに疲れがとれていないと感じるはず」と指摘します。

だからこそ、1日の最後の時間を電子機器の画面を見ない活動にあてましょう。たとえば、紙の本を読む、身だしなみやスキンケアのルーティン、翌日の服の準備、お茶を飲むなど、リラックスできることを行なってください。

4. 起床しやすい環境を整える

もし環境を工夫することができれば、習慣を続ける可能性がずっと高くなります。たとえば、ジムの服が用意されていると、スムーズに運動に移れるでしょう。

早起きできる環境の整え方には、以下のような方法があります。

  • 部屋の向こう側に目覚まし時計を置くなど、アラームを消すために起き上がらなければならない仕組みにする。
  • コーヒーをタイマーでセットして、起きたときにすぐにコーヒーが準備できる状態にする。
  • 寝る前に暖かいローブを用意しておき、起きたときに簡単に取ることができる状態にする。

5. 早起きできない原因を検証する

もし、これまでに早起きに失敗した経験がある場合、または現在進行形でうまくいっていない場合は、状況を客観的に評価してみましょう。

どのような行動をして、どのような障害に直面したかを分析します。

  • どのようなステップを踏んだか。
  • なぜ失敗したか。
  • 何が違っていたか。

たとえば、以前どうしても起き上がれなかった理由が「室温が寒かったから」だとしたら、その問題の解決策として前夜にエアコンのタイマーをセットしたり、ローブとスリッパを用意するとよいでしょう。

一度起き上がっても、ソファーでまた眠ってしまうなら、体をすぐに動かす工夫がもう少し必要かもしれません。スティーブンソン氏は以下のアドバイスをしています。

朝の運動は、活動を促すホルモンであるコルチゾールを調整することにも役立つでしょう。通常、コルチゾールのリズムは朝にピークに達し、そのあと徐々に夕方に低くなります。

また、もし起床時間を変えるなら、5分間の運動が生活リズムをリセットするのに役立ちます。自重スクワットをしたり、家の近所を歩いてみましょう。

6. 早起きする魅力的な理由を作る

スティーブンソン氏は「もし起き上がる理由がなく、体が休みたいと思っているなら、そのギャップを埋める何か魅力的なものが必要」だと助言しています。

具体的には以下を掘り下げるとよいでしょう。

  • 早起きの習慣が身に付いたとき、朝の時間をどのように活用したいと考えているか。
  • そのビジョンがあなたの行動にどのような影響を与えるか、考えたことはあるか。

変化が楽しいことと関連付けられていると、その変化が定着します。早朝に何か自分の好きなことをする予定を立ててください。

もし、朝起きたらランニングをするのがあなたの朝のビジョンだとしましょう。もしあなたが走ることが嫌いだとしたら、朝の運動の利点とは関係なく、早起きを何か不快なことと結びつけてしまうことになります。

早朝の計画に何かワクワクする要素が含まれていると、目覚ましのスヌーズボタンをあまり押さなくなるでしょう。逆に、目標にワクワクするものが含まれないのであれば、早起きを何かの罰と感じるようになり、その結果、目覚まし時計が鳴ったときにベッドから飛び出す動機づけにもならないでしょう。

7. 大きな目的を忘れない

なぜ早起きしたいと思うのか、早起きの大きな目的も考えてみましょう。

たとえば、早起きの目的が、上司が昇進の機会を与えてくれたので、もう仕事に遅れたくないという理由かもしれません。または、一緒に寝ている人があなたの目覚ましのスヌーズが鳴る習慣にうんざりしており、今後もその人と一緒に寝たいということかもしれません。

いずれの場合も、早起きの良い理由を見つけることで、これまでとは違う方法で行動しようという意欲が湧いてくるでしょう。生活を変えたい、または少なくとも朝のルーティンを変えたい場合、なぜそうしたいのか、その目的を知る必要があります。

新刊『The Big Picture:A Guide to Finding Your Purpose in Life』の著者であるクリスティン・ウィーラン氏は、特に目覚ましのスヌーズ設定を何度も押しがちな人に以下の助言をしています。

一部の人は早起きの目的を、朝起きてベッドから出るためだと定義しています。「なぜ起き上がるのか」という早起きの目的は、スヌーズボタンを押す動機となる「でも眠りたい」という気持ちよりも強力でなければなりません

8. 進捗を見える化する

ジェリー・サインフェルド氏は、自分の進捗状況をカレンダーに記録するという、自分の行動に責任を持たせるシンプルなトリックに取り組んでいました。

彼は毎日ジョークを書きたかったので、実際にジョークを書いたときには、ペンでカレンダーに「☓」を記入するようにしました。ジョークを数日間続けて書き続けられた後にカレンダーを見ると、記入した「☓」が鎖のように増えていました。そしてその「☓」の鎖が、サインフェルド氏がジョークを書き続ける動機となったのです。

9. 早く起きても仕事はしない

朝早く起きているからと言って、すぐに仕事や作業をあれこれ詰め込む必要はありません。

求人サイトIndeed.comの製品・エンジニアリング担当上級副社長クリス・ハイアムズ氏は、1日の仕事を軽快にスタートさせるためではなく、気が散らない静かな時間を1時間確保したいという切実な願いから朝型になったと語ります。

私のキャリアの大部分は、家族の世話をすることでした。たとえば車で家族の送り迎えをしたり、ランチの準備をしたり、ゴミの片付けをしたりといったことです。

朝、家族よりも早く起きたとき、私は生産的である必要はありません。メールもチェックしませんし、電話にも出ません。実際、職場に入るまで仕事はしません。

しかし、ハイアムズ氏は毎朝のルーティンのおかげで、集中力が高まった状態で出勤できるようになったと感じています。

10. 本当に早起きする必要があるかどうかを見極める

伝説的な逸話なのですが、Squareのジャック・ドーシー氏は、朝5時に起きて仕事の前に瞑想すると言われています。 また、PepsiCoのインドラ・ヌイ氏は朝4時に起きて仕事をはじめると話します。

DisneyのCEOであるボブ・アイガー氏は、毎日朝4時30分に起きるだけでなく、私たちのほとんどが眠気に任せてスヌーズボタンを押す前に、既にニュースを読み、運動をし、メールに返信し、仕事に追いついているのだとか。

しかし、本当にそうなのでしょうか。早起き神話は、結局はただの神話にしすぎません。『Crazy Is a Compliment: The Power of Zigging When Everyone Else Zags』の著者であるリンダ・ロッテンバーグ氏は、次のように指摘します。

人は成功するために必要なことだと聞いて、夜明け前に机に座っていないといけないという考えに賛同します。

しかし、それは完全に非現実的。特に自分の会社を立ち上げて一日中働いている場合はそうです。率直に言って、燃え尽き症候群の原因になります。

もし午後のほうが仕事がうまくいくタイプの人であれば、早起きできないことが実際に問題なのかどうか考えてみてください。

もし自分の仕事の時間を自分で設定できる立場にいたり、ある程度自分のスケジュールをコントロールできるのであれば、体の自然なリズムに合わせることができるかもしれません。わざわざそれを逆にしなくてよいかもしれません。

特に労働時間が長く、夜遅くまで働くことが多いテック業界の企業は、午前9時にいいひらめきが浮かばない社員のために勤務時間の調整に対応することができるかもしれません。

実際、多くのマネージャーは、午前10時半にリフレッシュして仕事の準備ができている社員を見るほうが、惨めな気持ちでベンティサイズのスターバックスのカップにしがみついている姿よりも好ましいと考えているのです。

エンジニアと一緒に仕事をしているハイアムズ氏は、彼がともに仕事をしている多くの人々が夜遅い時間に最高の仕事をする傾向があると感じています。彼の主張は次のとおり。

結局は、アウトプットの問題です。そのため、私はスケジュールの柔軟性を認めることに全く問題はありません。家族がいる人にとってうまくいく方法は、独身で夜遅くまで働くのが得意な人にとってはうまくいかないかもしれません。

ほかにも、ハワイにあるKaiser Permanente Sleep Labで医学ディレクターを務めるシャノン・マケカウ氏は次のように主張します。

朝方人間であることには利点があります。朝型の人はより積極的であり、それがより良い仕事のパフォーマンス、キャリアの成功、高い給与、そしてより目標志向性につながることが示されています。朝方の人は、夜型の人と比べて典型的な平日の業務時間により一致している傾向があります。夜行性の人々は、昼食時にはまだ起きたばかりかもしれません。

一方で、「単に起床時刻を早めるだけで、早起きによるプラスのメリットをすべて得られるかどうかについては、まだ結論は出ていません」とマケカウ氏は語ります。

生産性を高める内的傾向は生まれつきの可能性があるのです。もっと重要なのは、内的な睡眠・覚醒時計と外的なスケジュールとの一致に結びついている可能性がある点。

ほかにも、夜型の人々も遅めのスケジュールで働くことが許される限り、同じように生産的である可能性があります。

たった数秒でストレスを鎮め、睡眠の質を高める呼吸法「4-7-8メソッド」のやり方 | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2403-jessica-stillmansleep-technique-andrew-weil-university-arizona/

恐るべき「睡眠不足の長期的な影響」とは? | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2402-how-to-recover-from-chronic-sleep-deprivation/

首のストレッチ枕×ホットアイマスク導入で、寝る前のだらだらスマホ習慣を卒業できそう【これ買ってよかった】 | ライフハッカー・ジャパン https://www.lifehacker.jp/article/2401-korekai-winter-stretch-pillow-and-eyemask/

▼ホットアイマスクは「仕事の合間の簡単リフレッシュ」にもオススメ

Source: Amazon.co.jp(1, 2),Concierge Choice Physicians, NEW YORK, Fortune, The New York Times, Kaiser Permanente Sleep Lab(1, 2)

Originally published by Fast Company [原文]

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