近年アメリカで大きな社会問題となっている麻薬鎮痛剤による中毒。安価で比較的手に入りやすいため多くの若者の間に広がり、そしてわずかな量で彼らの命を奪うため「最悪の麻薬」とも呼ばれていますが、そんな「汚染」に深く関わっていたとされる中国が、さらに追い打ちをかけるような手を打ったようです。台湾出身の評論家・黄文雄さんが主宰するメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では今回、中国共産党が麻薬鎮痛剤の生成につながる物質の製造に補助金を提供し続けているとするニュースを紹介。さらにこの鎮痛剤が日本にも広がりつつあるとして注意を喚起しています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:現代のアヘン戦争を仕掛ける中国

「史上最悪の麻薬」でアメリカの若者を殺す。中国が仕掛ける現代のアヘン戦争

● 中国がフェンタニル原料に補助金、米国の中毒あおる=米下院委

アメリカ下院は4月16日、中国共産党に関する特別委員会において、中国が麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種であるフェンタニルの生成につながる化学物質の製造に直接補助金を出し、アメリカのオピオイド中毒危機をあおっているとする報告書を出しました。

フェンタニルとは、いまアメリカをはじめ、世界中で多くの中毒死を発生させている「史上最悪の麻薬」ともいわれる薬物です。ヘロインなどより数十倍も強力で安価であるため、貧困層を中心に大流行しており、アメリカでは年間7万人がフェンタニルの摂取によって死亡しているとされており、銃よりも多くの若者を殺しているといいます。

オピオイドとは、ケシから採取される有機化合物や、それにより生成される化合物の総称で、その一種であるフェンタニルは、手術時の麻薬や鎮痛薬として使用されていました。2000年ころから、医師の処方するオピオイド鎮痛薬の依存症が増え始めたといわれています。

このフェンタニルは重さ2グラムが致死量だとされており、ヘロインの50倍も強力だとされています。現在のアメリカの一部の街では、このフェンタニルを摂取して朦朧となり、ゾンビのように道に立ち尽くす中毒者があちこちに見られるという、異様な光景が繰り広げられています。

そして、このフェンタニルを製造し、アメリカにばらまいていたのが中国です。中国は通販による国際郵便などを通じて、アメリカにフェンタニルを大量に流し込みました。

しかし、これが大問題となりました。2016年には、アメリカの有名ミュージシャンのプリンスが、このフェンタニルの過剰摂取で死亡しています。

こうした問題から、海外からの合成薬物密売を禁止する法律ができました。それにより、中国からの郵便物が大量に押収されるようになったのです。

● 致死量は食塩ひとつまみ以下、原料は中国産…アメリカで銃よりも若者を殺している“史上最悪の麻薬”の怖さ

すると今度は、メキシコの麻薬カルテルがこのフェンタニルを製造し、アメリカに流すようになりました。そして、直接アメリカに流せなくなった中国は、その原料をメキシコに売って、儲けるようになったのです。

中国がフェンタニルを意図的に日本に流す可能性も

2023年11月に習近平国家主席とバイデン大統領の米中首脳会談が行われ、このときもフェンタニルの原料を生産する企業を取り締まることで合意しました。

● 米中首脳会談、軍事対話再開やフェンタニル生産抑制で合意

しかし、実際には中国政府は取り締まるどころか、そうした企業に付加価値税の還付というかたちで補助金を提供し、アメリカへの流入を促進させていたことが、今回の下院特別委員会で明らかにされたわけです。

一部では、中国はアヘン戦争時代の復讐を、フェンタニルで西側諸国に対して行っているという見方をする人もいます。そういえば台湾統一も尖閣諸島問題も、日清戦争に負けた屈辱を、現在の中国が晴らしているという見方もあり、こうした過去の復讐を習近平は「中華民族の偉大なる復興」だと称しているとも考えられるわけです。

TikTokといった中国のSNSや、ファーウェイの電子機器などが、スパイやデマ流布など、安全保障を脅かす存在として禁止する国が増えていますが、フェンタニルも国を崩壊させる害悪として、多くの国で脅威となっています。

日本でも次第に広がりつつあるといい、また、中国が意図的に日本に流す可能性も否定できません。くれぐれも日本への流入を水際で食い止めなくてはならないのです。

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