「今後キスできなくなりそう」な衝撃的キス

 1946年5月23日に封切りされた映画『はたちの青春』では、日本で初めてキスシーンが撮影されました。この映画の封切りにちなんで、5月23日は「キスの日」とされています。

 マンガやアニメのなかでも胸が高鳴るキスシーンが多く描かれてきました。しかし、一部の作品では読者が引いてしまうほど衝撃的な「絶対に味わいたくないキスシーン」もありました。

 衝撃的なキスシーンといえば、「別冊少年チャンピオン」にて連載されていた『バキ外伝 創面』(著:板垣恵介)を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

規格外の握力とタフネスを誇る稀代の喧嘩師「花山薫」は、ある日、花山は女生徒に呼び出され「彼女になれませんか」と告白されます。告白を受け入れた花山は彼女の肩を抱き、彼女の顔を吸い込みました。花山の吸引力は掃除機顔負けのすさまじさで、吸われた彼女は唇だけでなく周辺の皮膚まで巻き込まれ顔が変形してしまいます。

 キスされた後に彼女が別れを告げた際、「それでいい」と語っているため、彼女を遠ざけるためにわざとしたことがうかがえます。ただキスを終えた彼女の唇はたらこのように腫れあがっており、読者からは「初めて、キスでドン引きした」「ダイソンも驚く吸引力」といった声があがっていました。

 絵的に衝撃的だったキスが花山なら、音的に衝撃だったキスは『ジョジョの奇妙な冒険』(著:荒木飛呂彦)第1部の描写でしょう。主人公の「ジョナサン・ジョースター」の初恋の相手「エリナ」が、ジョナサンのライバルである「ディオ・ブランドー」にキスされた時に「ズキュゥゥゥン!!!」という衝撃的な擬音が使われていました。

 この表現を見た読者は「とてもキスの音とは思えない」「無理やりキスされたという心理的なショックを感じた」などの声をあげていました。ちなみにキスをされたエリナは、その後、自身の唇を泥水で洗いディオに屈辱を与えています。

 このふたりのキス以上に味わいたくないキスといえば、1987年から「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていた『ゴッドサイダー』(著:巻来功士)に出てくる「死の接吻」ではないでしょうか。コミックス3巻「死の接吻の巻」で、主人公「鬼哭霊気(きこく れいき)」の仲間である「阿太羅(あたら)」は、敵の蠅の帝王「ベルゼバブ」から死の接吻を受けました。

 ベルゼバブは接吻を交わした際に、成長の早い「サバンナツエツエバエ」のウジ虫を阿太羅の体内に送り込みます。当時、リアルタイムで本作を読んでいた筆者は、このシーンを読んで思わず吐きそうになるとともに、キスに恐怖心を抱いてしまいました。

「キスの日」にこれらのキスを思い出すのは、不適切かもしれません。どのキスも憧れることはありませんが、いまだに多くの人に覚えられているのは、強烈なインパクトを与えたからなのでしょう。