離婚歴がある女性の約6割が「子どもの養育費を満額もらえていない」――そんな調査結果が、株式会社アシロ(東京都新宿区)による「養育費」に関する調査で分かりました。また、養育費をもらえなかった場合も、約2人に1人が「状況を改善するための働きかけをしなかった」と回答したそうです。働きかけをしなかった理由にはどのようなことがあるのでしょうか。

調査は、離婚歴があり、子どもの親権を持つ全国の20〜30代の女性300人を対象として、同社の運営する弁護士・法律事務所の検索サイト『ベンナビ離婚』上にて、2024年4月にインターネットで実施されました。

その結果、養育費について「毎月もらっている」と回答した人は36.3%にとどまり、「毎月もらっているが、減額されることがある」(9.3%)、「過去数回のみもらったが、その後はもらえていない」(15.0%)、「数カ月に一度しかもらえない」(3.7%)、「一度ももらえていない」(32.7%)といった何かしらの事情により満額の養育費をもらえていない人は約6割となりました。

続いて「離婚の時、養育費の取り決めをしましたか」と聞いたところ、「家庭裁判所を介して取り決めた」(28.0%)や「公証人役場で公正証書を作成した」(21.3%)と回答した人は合計で49.3%となりました。

これらの手段は、万が一養育費が受け取れなかった場合に強制執行を検討できる選択肢であるものの、回答者の養育費の受取状況をみると「毎月もらっている」と回答した人は4割強にとどまっているほか、「取り決めをしなかった」(21.3%)と回答した人のうち、93.8%が「一度ももらえていない」と回答しており、離婚時に取り決めさえしておけば円満に養育費を受け取れるとは限らないことがうかがえる結果となりました。

では、養育費について「取り決めをしなかった理由」にはどのようなことがあるのでしょうか。取り決めをしなかった61人に複数回答で答えてもらったところ、「相手と関わりたくなかった」(31人)、「相手に支払う意思がないと思った」(23人)、「相手に支払う財力がないと思った」(18人)といった回答が上位に挙げられました。

一方で、「取り決めをしたかったが、交渉がまとまらなかった」(5人)と回答した人もいることから同社は、「必要に応じて弁護士や家庭裁判所といった第三者の介入を検討する必要があるかもしれません」としています。

また、養育費を「減額されたことがある」「もらえなかったことがある」「一度ももらえていない」と回答した182人に、養育費をもらえなかった場合の「状況改善の働きかけ」について複数回答可で聞いたところ、「連絡して督促した」(41人)、「話し合いの場を設けた」(24人)、「裁判所に勧告してもらった」(20人)といった回答が上位に挙がったものの、最も多かった回答は「働きかけをしなかった」(92人)であり、回答者のうち半数以上が働きかけをしなかったことが明らかとなりました。

働きかけをしなかった人からは、「めんどくさかった。もう関わりたくなかった」(37歳女性)、「離婚後、連絡先も知らないし会ってもいない」(38歳女性)、「子どもとの面会を強要されるのが嫌だった」(28歳女性)、「経済的DVが理由で離婚したので、怖くて連絡できない」(31歳女性)「相手に経済力がないため諦めている」(32歳女性)といった声が寄せられています。

一方、何らかの形で働きかけをした女性88人に、「その後の状況」について教えてもらったところ、状況が「改善した」人は32.9%、「改善しなかった」人は67.1%となり、離婚後のひとり親世帯が抱える課題が浮き彫りになる結果となりました。

さらに、養育費を「減額されたことがある」「もらえなかったことがある」「一度ももらえていない」と回答した182人のうち、「経済面で生活に余裕がある」と回答した人は17.5%にとどまりました。

なお、「困っていること」について複数回答で教えてもらったところ、「生活が苦しい」(70人)が最多となったほか、「子どもの学費が足りない」(56人)や「子どもの塾や習い事にかけるお金が足りない」(54人)などの回答も多いことから、女性のひとり親世帯において、経済面での課題を抱えるケースが多いことが分かりました。

一方で、働きながら子どもを育てなければいけない家庭の場合、「自分の時間が確保できない」(65人)や「家事と仕事の両立が難しい」(44人)といった悩みを抱える人も一定数いることが分かったそうです。

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【出典】
▽ベンナビ離婚/【離婚後、親権を持った女性300人に聞いた!】養育費の受け取り実態調査
https://ricon-pro.com/columns/683/