イエメンの親イラン武装組織フーシ派による紅海周辺での商船への攻撃が激化している。12、13日には相次いで商船に被害を与え、いずれも航行不能にさせた。米軍はフーシ派のレーダー施設などに攻撃を加えているが、攻撃は衰える気配はない。

 ロイター通信などによると、フーシ派は12日、紅海を航行していたギリシャの石炭運搬船(リベリア船籍)にミサイルや無人機で攻撃を実施。機関室が損傷して航行不能となった。フィリピン人の乗組員22人のうち21人は退避したが、1人は機関室にいたとみられ、行方不明になった。

 さらにフーシ派は13日、アデン湾と紅海で計3隻の商船を標的にミサイルなどを発射。このうちアデン湾を航行していたウクライナの貨物船(パラオ船籍)が被弾して炎上した。英海軍の関連機関は15日、この船が炎上を続けており、沈みつつあると明らかにした。乗組員は全員退避したが、1人は重傷を負った。

 一方、米中央軍は15日、過去24時間にフーシ派の無人機など3機を迎撃したほか、イエメン国内にあるレーダー施設7カ所を破壊したと発表した。米軍はこれまでもイエメン国内に空爆を繰り返しているが、フーシ派の攻撃を抑止できていない状況だ。

 フーシ派はパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスに連帯を表明し、昨年11月から紅海などで商船への攻撃を開始。これまでに日本郵船がチャーターして運航する自動車運搬船を拿捕(だほ)したほか、貨物船1隻を沈没させた。船員3人も死亡している。【カイロ金子淳】