東日本大震災から復活した岩手県盛岡市の「赤武酒造」が、能登半島地震で被災した酒蔵の酒造りを支援しています。
この能登の酒蔵には「赤武酒造」の元従業員が勤めていて、今回は古巣で作業にあたっています。

盛岡市の「赤武酒造」は、東日本大震災で当時大槌町にあった酒蔵が被災し、その2年後新たな蔵を再建しました。

その「赤武酒造」では元日の能登半島地震で被災した石川県能登町の酒蔵「数馬酒造」の支援に乗り出しました。

赤武酒蔵 杜氏 古舘龍之介さん
「やっぱりなんとかして助けたい、一緒に酒造りしたいという思いで」

「数馬酒造」では地震後津波が押し寄せ建物に泥が入り壁が倒壊しました。
社員やその家族は無事でしたが、酒造りが一時できなくなり仕入れた能登産の酒米を使い切ることが難しくなりました。

そこで赤武酒造ではその酒米1500キロ分を預かり仕込みを請け負うことにしたのです。

阿部愛記者
「こちらでは能登のお酒の最終仕込み段階が行われています。お米の香りが漂っています」

5月9日は蒸した米と水を合わせ酒のもととなる「もろみ」を作る作業が行われていました。

ひときわ特別な思いで作業にあたる女性がいました。「数馬酒造」の従業員・寺口瑠美子さんです。

奥州市出身の寺口さんは震災後「赤武酒造」に勤めた経験があり、能登に嫁いだ後「数馬酒造」に入社しました。
能登の地震により思わぬ形で古巣に戻ってきました。

数馬酒造 寺口瑠美子さん
「8年ぶりに来たが(赤武酒蔵の)社長の奥さんが飛び出してきてくれて、もう涙があふれちゃって、みんなの顔見たら安心した」

3.11から立ち上がる日々を共にしてきた寺口さんや杜氏の古舘龍之介さん。
今回の酒造りにかける思いには強いものがあります。

赤武酒蔵 杜氏 古舘龍之介さん
「一緒に酒造りをしていた仲間と共にお酒造りができること、すごい感慨深い」

数馬酒造 寺口瑠美子さん
「私にとっては本当に思い入れの強いお酒になると思う。昔からの仲間と作れたことも特別だと思うし、支援していただいたことを本当に感謝しているし、感謝の気持ちを届けられるお酒になったらと本当に思う」

能登産の酒米を使った日本酒「竹葉」は6月中旬に完成し約4000本販売される予定です。