「将来に向けて大きな一歩」−。新型基幹ロケット「H3」を開発した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の関係者らは1日、南種子町の種子島宇宙センターで会見を開き、2号機に続く3号機の打ち上げ成功に喜びつつ、国際競争力の確保に向けた低価格化の実現に意欲を示した。

 H3開発責任者の有田誠プロジェクトマネージャは総合指令棟で打ち上げを見守り、搭載していた地球観測衛星「だいち4号」が無事に分離されると、前責任者の岡田匡史理事と抱き合った。

 「100点満点。種子島の住民や関係者のおかげ」と笑顔を見せた。1号機の失敗で「だいち3号」を失った時は関係者に謝罪し、「必ずH3を立て直す」と誓ったという。

 今回の一段目エンジンでは、推力を抑える「スロットリング」を初めて実施した。低価格化へ向けて、固体ロケットブースターをなくし一段目エンジンを二つから三つに増やす打ち上げを目指しており、有田マネージャはそのために「欠かせない技術」と説明。早期実現に向けて、「今後も努力を続けたい」と気を引き締めた。

 ブースターなしの打ち上げは、国内の大型ロケットではまだ実現していない。打ち上げ時に機体を安定させるための装置の開発も進めているという。

 「だいち4号」は太陽電池パネルを正常に展開した。開発責任者を務めた有川善久プロジェクトマネージャ
(鹿児島市出身)は「非常に高い精度で軌道投入してもらった。しっかり運用できるように取り組みたい」と話した。