「古楽音楽会〜フラウト・トラヴェルソ アンティークフルート物語」が5月17日〜19日、国登録有形文化財でもある旧足立邸(葉山町堀内牛ヶ谷)で開催される。(逗子葉山経済新聞)

 フラウト・トラヴェルソ奏者 菅きよみさん。今回、演奏するノース製作のオリジナル楽器を持っている

 会場となる旧足立邸は1933(昭和8)年、実業家・足立正さんの別邸として佐藤浩一さんが設計した個人住宅でイギリスのハーフティンバー様式を取り入れた和洋折衷の洋館。テレビドラマやミュージックビデオなどの撮影に使われることもある。

 4年前に建物を取得し、家族で移住してきた柴田結さんが企画、主催している同音楽会。築90年の洋館のアンティークに囲まれた空間で聴くサロンコンサートの設(しつら)えが特徴で、3回目となる今回はアンティークフルートのコレクターの協力により、オリジナル楽器とレプリカを聴き比べる趣向で行う。

 共同主催者で古楽家の辻康介さんは「フラウト・トラヴェルソは木製で本来の姿のフルート。まっすぐな丸い筒に穴が空いているだけのもので、現在のモダンフルートとは演奏技術も違うので、職業として演奏家も別になっているほど。今回、出演する菅きよみさんはオリジナル楽器ならではの音色と表現にこだわってきた数少ない演奏者の一人」と紹介する。

 菅さんの師、有田正広さんは多くのオリジナル楽器を収集していた。もう一人の出演者、大島徳彦さんは有田さんのオーケストラのマネジメントをしながら、自身もコレクターでトラヴェルソを演奏する。「今回の曲目の多くは、オーケストラや大合唱の曲を書く作曲家たちがトラヴェルソ一本で演奏するために書いたもの。小さな音の中に大編成の音楽にもあるようなドラマがある。15人限定でしか聴けない音楽会で、18世紀の楽器職人の思いがこもったオリジナルフルートの音を聴いていただけたら」と辻さん。

 演奏前後には、柴田さんが運営するアンティークショップ「ベルベットノット」の雑貨の販売や、一般には公開していない館内の案内なども行う。

 開催時間は、17日=15時〜17時30分、18日・19日=10時30分〜13時・15時〜17時30分の2部制。料金は1万2,000円(ウエルカムティー付き)。予約制。