トヨタ ランドクルーザー250と三菱トライトンの日本発売や、マツダ CX-80のワールドプレミアなど、何かと話題が豊富な日本メーカーのSUV&ピックアップトラック。ですが、世界を見渡せば日本国内では正規販売されていない魅力的なモデルがたくさんあります。今回はメーカーごとにそんなモデルをお見せしたいと思います。(※本企画中のボディ寸法やエンジンスペックは基本的には編集部換算値となります)

ホンダ パスポート「CR-Vよりも少し大きいSUV」

ホンダ パスポートは、1993年に初代モデルが登場したモデルです。初代と2代目はいすゞからOEM供給を受けた車体をホンダ パスポートとして販売していました。ちなみに、初代のベース車はいすゞ ミューウィザード、2代目はウィザードと日本でも聞いたことがある車名です。ただし、2代目は2002年に販売を終了しており、以降はしばらくパスポートというモデルは途絶えることになります。

それから15年以上が経った2019年に現行型ホンダ パスポートが登場し、車名が復活します。現行型からはホンダの独自開発車となり、北米のホンダSUVのラインナップではCR-Vとパイロットの間に位置するモデルとなりました。

ボディサイズは全長4821mm✕全幅2116mm(ミラー折りたたみ時)✕全高1835mm、ホイールベース2817mm。大人5名がゆったりと過ごすことができる車内空間を備えています。

エンジンは最高出力265ps、最大トルク355Nmを発生する3.5L V6SOHC(i-VTEC)を搭載し、9速ATが組み合わされます。駆動方式は全車4WDとなります。このクラスのSUVでも北米では牽引能力が求められますが、パスポートには2268kgの牽引能力が与えられています。また最低地上高は205mmが確保されているので、悪路走破性も高そうです。これを意識してか、ちなみに北米のウェブサイトでは、オフロードを走っているパスポートのプロモーション用写真が多く使われています。

ホンダ パイロット「ホンダ最大の3列シートSUV」

ホンダというと、日本ではコンパクトなクルマを得意としているイメージがありますが、北米など、大きなクルマが好まれる地域にはちゃんと大型モデルを供給しています。その1台がホンダ パイロットです。

ホンダ パイロットは、全長5077〜5085mm✕全幅2090mm(ミラー折りたたみ時)✕全高1801〜1829mm、ホイールベース2891mmというホンダでもっとも大きなSUVです。パワートレーンはは3.5L V6(最高出力288ps、355Nm)+10速ATで、駆動方式は4WDとなります。またベースグレード以外には「Sport」「Normal」「Econ」「Snow」「Tow」「Trail」「Sand」と多彩な走行モードが用意。路面状況やドライブシーンに合わせたセッティングを選ぶことができます。

インテリアは3列シートを備え、2列目シートはベンチシート(8人乗り)かキャプテンシート(7人乗り)が選べます。3列目シートは床下に収納でき、完全にフラットな荷室空間を作り出すことができます。また、荷室容量はフル乗車時で618〜635L、5名乗車(3列目格納)時で1685〜1702L、2名乗車(2列目、3列目格納)時は3166〜3219Lと余裕があります。

ホンダ リッジライン「スタイリッシュなデザインのピックアップトラック」

ホンダが製造する4輪車の中で最大の大きさを誇るピックアップトラックで、全長5339mm✕全幅2116mm(ミラー折りたたみ時)✕全高1798mm、ホイールベース3178mmという堂々としたボディが与えられています。エンジンは最高出力283ps、最大トルク355Nmを発生する3.5L V6SOHC (i-VTEC)が搭載され、これに9速ATと4WDシステムが組み合わされます。また、牽引能力は2267kgとなっています。

エンジンスペック、牽引能力ともにと、アメリカで販売されているピックアップトラックとしてはやや控えめなスペックですが、車重が2038〜2048kgに抑えられていることや大型ピックアップとしては珍しいモノコックボディを採用しているため運動能力が高く、乗用ユースでの乗り心地の良さが高く評価されています。

一方、インテリアはピックアップトラックというよりもサルーン的なテイストのデザインで、とくにコクピットまわりはほかのホンダ車と同じようにボタン式のシフトセレクターや全面液晶のメーターパネルなどが採用されており、機能面、見た目ともにかなり洗練されています。また、その大柄なボディサイズに見合った広い車内も持ち合わせており、快適性が高いピックアップトラックと言えそうです。

マツダ CX-50「昨今のマツダ車では珍しいラギッドなモデル」

2021年に発表された中型サイズのSUVで、北米向けモデルとして登場しました。そのため、生産する工場もアメリカにあるトヨタとマツダの合弁会社のマツダ・トヨタ・マニュファクチャリング・U.S.A.の工場で生産されています。さらに中国での生産と販売も予定されています。

全長4720mm✕全幅1920mm✕全高1613〜1622mm、ホイールベース2815mmとCX-5よりもひと回り大きく、CX-60に近いボディサイズとなります。ただし、そのコンセプトはCX-5、CX-60とは明確に異なっており、CX-50はオフロード性能が高められています。

最低地上高は210〜219mm、アプローチアングル17.8〜18.5度、ディパーチャーアングル24.8度、ブレークオーバーアングル17.7〜18.5度(グレードにより異なる)を確保したほか、駆動方式は全車4WD(i-ACTIV AWD)で、Mi-Drive(マツダ・インテリジェント・ドライブセレクト)を採用。

オフロード走行やキャンピングトレーラーの牽引に対応したモードも用意されています。ちなみに、牽引能力は2.5L NA車は907kg、2.5Lターボ車は1588kgとなっています。

エンジンは2.5L直4(最高出力189ps、最大トルク252Nm)と2.5L直4ターボ(最高出力230psまたは259ps、最大トルク420Nmまたは433Nm)の2種類を用意。トランスミッションは6速ATが組み合わされます。なお、ターボ車は使用する燃料のオクタン価の違いにより、最高出力&最大トルクが変わる仕様となっています。

このように、ボディの大きさや機能面の充実ぶりからマツダのラージ商品群の一角のように思えるCX-50ですが、足まわりのサスペンション形式はフロントはストラット、リアはトーションビームとなっています。つまりひと世代前のCX-5とも、FRベースである新世代商品のCX-60などともプラットフォームは異なり、比較的な大柄なSUVでありながら実はマツダ3などに近いシャシを用いたモデルなのです。

なお、CX-50はエンジン車のみ(今後ハイブリッドの追加予定あり)なので、並行輸入が容易なモデルでもあり、一部の並行輸入業者が輸入を始めています。なので近いうちに日本でもCX-50が走る姿を見かけるようになるかもしれません。

マツダ CX-70/CX-90「ラージ商品群最大サイズのSUV」

マツダ CX-90は、大型SUVのCX-9の後継車として登場したモデルです。パワーユニットは3.3L直6ガソリンターボエンジン(最高出力208ps、最大トルク450Nm)+モーターのe-SKYACTV(マイルドハイブリッド)、または2.5L直4+モーターのプラグインハイブリッド(システム最高出力327ps、最大トルク500Nm)で、それぞれトルコンレスの8速ATが組み合わされます。また駆動システムは、エンジンを縦置き搭載したFRベースの4WDを採用しています。

CX-90のもっとも大きな特徴は、その堂々としたボディサイズとゆとりある車内空間です。ボディサイズは全長5120mm×全幅1971mm(ミラー折りたたみ時)✕1733(ルーフレール、シャークフィンアンテナを含まず)mm、ホイールベースは3120mmと、先ごろワールドプレミアされ、日本や欧州向けに企画されたCX-80よりもひと回り大きくなっています。

車内は、余裕のある横幅を活かして、3列目シートは3人掛けとなるため、乗車定員は7名または8名となっています。インテリアデザインはCX-60以降のマツダ車のテイストを採用。グレードによってはインパネのデコレーションにCX-60でも採用されている日本の伝統工芸にインスピレーションを受けた「掛け縫い」も用いられています。

一方、CX-70は全長のみ20mm短くなりますが、CX-90とほぼ同等のボディサイズのSUVで、パワーユニットのバリエーションもほぼ同じです。CX-90と異なる点は3列目シートを装備しない5名乗車のSUVという点です。

CX-70の開発コンセプトは「Passion Pursuer(情熱の探求者)」で、趣味やアクティビティでの使い勝手の良さを高めています。そのひとつとして、荷室開口部にスイッチを設け、後席をワンタッチで倒すことができるようになっています。また、荷室容量は5名乗車時で1122〜1131L、2名乗車時で2132〜2147Lという広大なスペースを確保。牽引能力は2268kgとなっています。

マツダ BT-50「マツダ唯一のピックアップトラック」

マツダ BT-50は、オーストラリアとASEAN地域で販売されている、マツダが唯一のピックアップトラックです。ベースとなるモデルはいすゞ D-MAXで、フロントマスクをはじめとした各部をマツダのデザインに合わせたOEM車となります。

フロントマスクはCX-8やCX-9といったひと世代前のデザインテイストが採用されています。ボディ形状は2ドア2人乗りのシングルキャブ、2ドアでシート後方に荷物などをおけるスペースを設けたロングキャビン仕様のフリースタイルキャブ、4ドア5名乗車が可能なデュアルキャブの3タイプを用意。全ボディタイプに荷台部分を簡易的なものにしてカスタムを可能した仕様も用意されています。

エンジンは1.9L直4ディーゼルターボ(最高出力110ps、最大トルク350Nm)と3L直4ディーゼルターボ(最高出力190ps、最大トルク450Nm)を用意。トランスミッションは6速ATと6速MTが、駆動方式は全グレードで2WDと4WDが用意されています。

ボディサイズは全長5280〜5320mm✕全幅1870mm✕全高1785〜1810mm、ホイールベースは3125mmです。トヨタ ハイラックスや三菱 トライトンとほぼ同じサイズということ、現在販売されている地域は日本と同じ右ハンドルの国が多いことなどを考えると、日本で発売してもそれなり受け入れられそうな、そんなピックアップトラックです。

スズキ フロンクス「都会的かつスタイリッシュな世界戦略モデル」

スズキと言えばインド市場で大きなシェアを持つメーカーです。そして彼の地現地法人であるマルチ・スズキが魅力的なモデルを販売しています。

最初にご紹介するモデルが、クロスオーバーSUVの「フロンクス」です。リアまわりをクーペスタイルとした力強さと流麗さを強調したエクステリアデザインを採用しました。インド仕様のボディサイズは全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm、ホイールベース2520mmとコンパクトにすることで、インドの道路事情を考慮して取り回しやすくしたほか、全方位モニターも用意されています。

インテリアは上質感のあるしつらえの内装と十分なスペースを確保した快適な空間を実現しています。それと同時に、ヘッドアップディスプレイなどの先進装備を採用したほか、ワイヤレスチャージャーや後部座席用エアコン送風口なども備えています。

インド仕様のパワーユニットは、1L直3直噴ターボ+モーターのマイルドハイブリッドと、1.2L直3ガソリンで、トランスミッションは1Lマイルドハイブリッドに5速MTまたは6速ATが、1.2L直3ガソリンエンジンには5速MT/5速AGS(AMT)が組み合わされます。ちなみに、フロンクスはインド以外に中東、アフリカ、南米でも展開されるモデルで、これらの地域向けには1.5Lエンジンが搭載されています。

スズキ ジムニー 5ドア「日本でも販売を望む声が多い1台」

日本でもたびたび「発売されるのでは?」という噂や待望論を目にするジムニーの5ドアモデルは、インドでは正式に販売されているカタログモデルです。ボディサイズは全長3985mm×全幅1645mm×全高1720mm、ホイールベース2590mmと、日本の5ナンバー枠に収まる大きさです。5ドア化にあたり、専用に設計されたリアシートとインテリアを備えています。

エンジンは1.5L直4のK15Bを搭載。日本で販売されているジムニーシエラと同じエンジンですが、最高出力104.8ps、最大トルク134Nmとスペックは僅かに異なっています。トランスミッションは5速MTまたは4速ATが組み合わされ、駆動システムはパートタイム式4WDとなります。ちなみに車両重量は1195〜1210kg、乗車定員は4名となっています。

と、このように世界各地で日本メーカーが生み出したSUVとピックアップトラックが走り回っています。お時間があるときに世界各国の日本メーカーのホームページで探してみるのも一興かもしれません。

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