「メイズ・ランナー」シリーズのウェス・ボールが監督を務めた「猿の惑星」シリーズの完全新作『猿の惑星/キングダム』(公開中)。『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』(11)、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(14)、『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』(17)に続くシリーズ新章では、猿が支配する黙示録的な世界で新たな衝突が勃発する。
物語の舞台はいまから300年後の未来。人間は言語を失い、文化も技術も社会性もない、まるで野生生物のような存在に。一方で猿たちはさらに高い知能と言語を得て、独裁者プロキシマス・シーザー(ケヴィン・デュランド)の指示のもと、徹底的に人間を排除し、文明的なコミュニティを持った巨大な帝国“キングダム”を築こうとしていた。村と家族をプロキシマスに奪われた若き猿のノア(オーウェン・ティーグ)は、偶然出会った人間の女性ノヴァ(フレイヤ・アーラン)と共にプロキシマスに立ち向かうことを決意。しかしノヴァは、猿たちの知らない“秘密”を握っていた。
MOVIE WALKER PRESSは、“猿”と“人間”の共存をかけて、“猿&人間”vs“猿”の新たなる衝突が描かれる本作について、国内外で活躍するアーティストであり、主人公のノアと同じ名前を持つNOAに語ってもらうインタビューを実施。生き様に心打たれたというノアへの共感や、世界最高峰のVFXスタジオが作り上げた「猿の惑星」の世界への没入感まで、たっぷり語ってもらった。
※以降、ストーリーの核心に触れる記述を含みます。未見の方はご注意ください。
■「ノアは自分の意思を貫く姿は本当にかっこいいし、生き様に惚れます!」
本作について率直な感想を聞かれたNOAは、「人間が絶滅に瀕している惑星を猿が支配している、という前提がすごく興味深かったです。そんなことはあり得ないと思いつつも、どこかであり得るのかなと思ったりもして。現実と照らし合わせながら観て楽しみました」とじっくり物語を味わった様子。さらに「すごく没入できた」と微笑む。「展開がすごく早くて、次はなにが起きるんだろうとずっとドキドキしていました。自分も森の中を歩いているような気分で、体験型の映画として楽しみました。個人的な話ですけど、ぼくがNOAなので、映画でノアの名前が呼ばれるたびに、ハッとするというか(笑)。怒られるとドキッとするし、褒められるとうれしくなる。完全に自分が呼ばれているような感覚になって、すごく没頭できました」と、主人公と同じ名前であることでより深く世界観に入り込めたようだ。
ノアに共感したシーンは「いっぱいあります!」とニッコリ。「人間を信じるか信じないかという点でも、ノアの気持ちがよくわかるというか。僕は勝手に、ノアはメイ(ノヴァの本名)ちゃんのことは初めて会った時から敵のようには思っていない気がしていて。なんだったら、ちょっと通じるものがあったように思えました。ノアが生きる世界では“人間とは”みたいな教えがあったかもしれないけれど、彼自身、そういった先入観を物差しにするのではなく、自分なりの考えを持って接することができるのは、すごくすてきだと思いました。ノアは目的が明確で、自分の意思を貫く姿は本当にかっこいいし、生き様に惚れます!と同時に、揺れる感情には人間っぽさを感じてとても共感できました」。
■「やっぱり人間と動物には距離がある。その距離感のようなものを感じてすごくリアルでした」
動物好きのNOAは、“猿たち”の立場でも気持ちを考えたという。「ノアが幼馴染のアナヤやスーナと人間が作った絵本を見るシーンがあります。絵本のなかで檻に入っている猿を見てすごくショックを受けていました。もし僕が檻に入っている人間の絵を見たら、やっぱりすごく変だと感じるだろうし、ショックを受けると思うんです。共感とは少し違うかもしれないけれど、不平等に対する気持ちが理解できるというのかな。『もし、逆の立場だったら…』みたいなことを改めて考えさせられたシーンの一つです」と説明した。
物語のカギを握る少女ノヴァ/メイ役のアーランの芝居にも引き込まれたと語ったNOA。「よくも悪くも自分のこと、人間のことしか考えていないところはたまに見えていたけれど、どこかノアと心が通じ合ったようにも思えていたから、プロキシマスとの戦いのシーンでは彼女の行動に期待しちゃった部分があって。だからこそ、メイの選択を残念に思ったシーンもありました。やっぱり人間と動物には距離がある。その距離感のようなものを感じてすごくリアルでした。実際自分がもし“猿と共存してください”と急に言われたら、同じ行動をする気もするから理解できる部分もあるし…。最初に野生化した人間のように振る舞っていた姿もリアルで、本当に動物のように見えたから、彼女が言葉を発したシーンはすごくびっくりしました。『喋れるんだ!』って」と、アーランの説得力のある芝居に魅了されたと明かした。
もし、ノアと同じ境遇になったら、メイのことを信じることはできるのだろうか。「信じたいとは思います。目的は違うかもしれないけれど、見ている方向は同じだと思うから、なにかしら繋がれるポイントがある気がしていて。だからこそ一緒に前に進みたいって気持ちを持つと思うから、ちょっと疑うかもしれないけれど信じて手を組むと思います」。
NOAのお気に入りのキャラクターはノアの幼馴染、アナヤ。「すごくかわいくて大好きです。アナヤみたいな友だちは絶対1人はいてほしいタイプ。彼のような人がいるだけで、すごく救いになります。プロキシマスのもとで奴隷のような扱いを受けている姿は見ていてすごくつらかったですが、ノアの作戦を聞いて『僕なしじゃできないでしょ』とついて来てくれた時は、うれしかったし、やっぱり超かわいい!って思いました」と目を細める。
■「『概念を覆される』。今後の考え方が変わるような作品です」
VFXを用いて描かれる、徹底的なリアルを追求した300年後の世界はNOAの目にどのように映ったのか。「まず、猿の表情の一つ一つがすごくリアル。人間っぽさがあって、悲しい時は悲しいとわかるし、なにを考えているのかわからない時の表情もすごかった。男の子、女の子、お父さん、お母さん、それぞれに“ぽさ”があります。顔の違いというのかな。目の動きもすごく魅力的で興味深かったです。『すごいなあ』ってマジマジと見つめてしまうことが何回もありました。ラカが水に濡れた時の毛の感じもすごく印象的で…。ただ個人的にはラカの前髪がずっと気になるポイントでした(笑)。自然の描写も本物にしか見えなくて、どこまでがVFXでどこからが実写なのか、全然わかりません。全体の30分ぐらいはフルCGだと聞いて、めちゃくちゃ驚いています!」。
ノアが自分の道を切り開くきっかけとなるのは父との別れだ。「すごく切なかったし、やっとお父さんにいい姿を見せられる!ってなった日があんな終わり方をするなんて。だからこそ、ノアが鳥使いのイーグル族の長としての成長を見せるシーンではグッとくるものがありました。ちゃんと引き継げたんだなって。イーグル族みんなで力を合わせるシーンもすごく感動的。僕自身、親とすごく仲が良いので、家族愛が見えるシーンはとても共感できました。お母さんとの再会シーンもすごくよかったです」と、“家族の絆の物語”も本作の魅力だとアピールした。
いろいろな視点で本作を楽しんだNOAが本作を誰かにおすすめするとしたら、どんな映画だと説明するのだろうか。「『概念を覆されるよ』、って言います。動物園で見るお猿さん、動物たちもすてきだけど、ふと冷静になった時に動物との向き合い方が変わるというのかな。それにプラスして、仲間や家族愛といった部分は自分とリアルに重ねられるし、共感できる部分もたくさんある。新しい発見がたくさんできる作品だよっておすすめします。その発見も、ただ発見して終わり、ではなくて。今後の考え方が変わるような作品です。アクションや映像もすばらしいし、音もすごい。動物の威嚇とか鳴き声、叫び声はすごく臨場感があります。いろいろな要素が含まれているので、アトラクション感覚で楽しめる映画館で観るのが絶対おすすめです。1回目は通常のスクリーンで観たのですが、それでもすごい没入感だったので、大好きなIMAXやドルビーシネマで観たら、どんな体験になるのか、いまからワクワクします!」と、様々なフォーマットで観てみるのもおすすめの作品だと語ってくれた。
■「いい意味で“え?”という終わり方だったので、いまから次回作がすごく気になっています」
衝撃的なラストを迎えた本作だったが、次回作に期待が高まる終わり方にもなっている。「今回、ノアとメイちゃんは自分たちのやるべきことのために突き進んだけれど、僕はやっぱり2人が手を組んで一つのことをやり遂げる、そんな物語が観たいです。一緒になにかを築き上げていく姿が観てみたい。ラストで登場した通信先がどこなのかも気になります。かなり具体的な場所が表示されていたから、次回作のキーワードかなって勝手に想像していました(笑)。今回いい意味で“え?”という終わり方だったので、いまから次回作がすごく気になっています。絶対こうなるよね、みたいなものがないから余計に想像が膨らみます。シリーズの過去作品も観て、なにかヒントがないか、探したいと思います」と早くも次回作に興味津々。
お気に入りのキャラクターだったという、オランウータンのラカの再登場も見たいそう。「ラカは、最後まで一緒にいて欲しかった。ラストまで“出てくるんじゃないかな”と期待して待っていました。エンドクレジット後にオランウータンの声が聞こえた気がしたので、もしかしたら…なんて思っています。ラカのシーザーに関する知識は貴重なものだし、彼しか持っていないものだから、もっと活かせると思うし、ノアにいろいろなことを教えてほしいなって思っています」と今後の展開に期待を寄せた。さらに「自然の描写がすごく綺麗だったので、もっと夜のシーンも観てみたいです。美しい星空でもいいし、みんなで夕ご飯を食べているシーンでもいい。動物たちが過ごす夜の平和なシーンを美しい映像で観たいです」。
取材・文/タナカシノブ
NOAが共感した、主人公“ノア”の生き様。『猿の惑星/キングダム』の没入感に「概念を覆される」
![NOAが共感した、主人公“ノア”の生き様。『猿の惑星/キングダム』の没入感に「概念を覆される」](https://img.topics.smt.news.goo.ne.jp/image_proxy/compress/q_80/picture/moviewalker/m_moviewalker-1197476.jpg)
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