石原さとみが主演を務める、吉田恵輔監督の最新作『ミッシング』が公開中だ。2022年に出産し1年9か月ぶりに復帰を果たした石原が7年前に自ら吉田監督に出演を直談判してタッグが実現した本作は、先月行われた完成披露試写会で「私の夢が叶った作品」と語っていたように、石原にとって新境地を開拓する力作となっている。その公開を控えるなか、各地で行われた上映イベントをまとめてレポート!
とある街で起きた幼女の失踪事件は、あらゆる手を尽くすも一向に手掛かりを得られぬまま3ヶ月が過ぎていた。娘の帰りを待ち続けるも、少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る沙織里(石原)は、夫の豊(青木崇高)との温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田(中村倫也)を頼る日々。そんななか、沙織里はネット上でいわれのない誹謗中傷の標的となり、その言動は次第に過剰となり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるほど心を失くしていくことに。
■ロケ地・静岡県裾野市に吉田監督&青木崇高が表敬訪問!
5月10日に先行上映会が行われたのは、本作のロケ地となった静岡県裾野市。上映会の前には撮影協力の御礼と映画の完成報告のため、吉田監督と森下豊役の青木らが村田悠市長を表敬訪問。「最近の作品ではコロナ禍もあり、撮影が終わってからロケ地に来ることができなかったのですが、また自分が撮影した場所に戻ってこられたのはすごくうれしいです」と吉田監督が再訪への喜びを噛みしめると、村田市長は「裾野市の魅力も伝えられたらうれしい。本当にすばらしい作品でした」とエールを送った。
その後、裾野市民文化センターで行われた上映会では、村田市長が主催挨拶として登壇。「実は私の家の裏で撮影していました!」と明かし、多くの市民が集まった会場を盛り上げると、吉田監督と青木、長井龍プロデューサーが壇上へ。公開を目前に控えた心境を訊ねられた吉田監督は「石原さんも言っていたけれど、不祥事が起きないかな、大丈夫かなと思っています(笑)」と茶目っ気たっぷり。「基本的に僕は“愛”を描きたい。でも相当の地獄を描かないと愛が感じられない。愛のために地獄を描いていると思うと苦しくはない。観終わった後の余韻を楽しんでほしいです」と作品に込めた想いを語った。
さらに石原を起用した理由について「7年前に直談判され、苦手だと一回断った」と明かす吉田監督は「俺、裾野で撮ろうとしてるじゃん?裾野に石原さとみいる?」と冗談まじりに観客に問いかけ会場は大爆笑。「石原さとみに自分をぶっ壊してほしいと言われ、俺もぶっ壊したいと思った。お互いにギャンブルだったけれど、勝ったと思っています」と自身をのぞかせると、石原演じる沙織里の夫を演じた青木は「音を立てて壊れていましたね。それが愛おしくもありますし人間らしかった」と、“人間描写の鬼”と称される吉田監督の手腕が発揮された撮影現場を振り返る。
また、裾野がロケ地に選ばれた理由を訊ねられると吉田監督は、「制作部から沼津を提案され、実際に静岡県に来てみたらイメージに合うということでメインのロケ地になりました。それで気が付くと裾野にいました(笑)」と回答。「ラストシーンも裾野なんですが、一見するとどこにでもある風景。でも懐かしく愛おしい場所で、ふるさとに近いイメージの場所でした」と、富士山の麓ならではのすばらしいロケーションを携えた裾野への愛情をのぞかせていた。
■札幌でのトークイベントには、吉田監督がリモート参加!
裾野でのプレミア上映会の翌日、5月11日には札幌市のSTVホールで特別試写会が行われ、上映後のアフタートークに読売新聞小樽支局長の片岡正人と札幌テレビ放送報道解説員の急式裕美が登壇。吉田監督もオンラインで参加し、本作の重要なテーマのひとつでもある“報道の在り方”について意見を交わした。
「実際に同じような環境に置かれている人もたくさんいると思います。そんな人たちが観てくれたら、救いというかなにか優しいものを感じてもらえるように作ろうと、覚悟を持って臨みました」と本作に挑む上での覚悟を明かす吉田監督に、急式は「夫婦を襲う絶望、もどかしさにリアリティがあり、鑑賞しながら同じ気持ちを抱くことができました」と語り、片岡も「石原さとみさんの鬼気迫る演技にとにかく圧倒された。夫婦のドラマとしてとても感銘を受けました」と賛辞を送る。
SNSの普及によって個人が情報を発信できるようになった昨今。マスコミの取材方法も変わってきているようで、急式は「視聴率に追われるテレビ局のシーンはリアリティに溢れていた」と、片岡は「新聞は視聴率などはないが、ニュース価値を考えて大事なことを優先して記事にしています。速さも重要だが、正しい情報を伝えるのが新聞の役割です」と語る。また、作品を手掛けるに当たってマスコミへの取材も行なったという吉田監督は、「自分がもし同じ環境で働いていたら、本作で描いたようなことをしてしまっていると思う」と取材を経て感じた思いを吐露。
その後、映画を観終えたばかりの観客からの質疑応答コーナーに入ると、熱のこもった質問に吉田監督は次々と真摯に回答していく。「石原さんが役にのめり込みすぎて、自分がどう演じたのか覚えていないという発言をテレビでみましたが、それはどのシーンだと思いますか?」と訊かれると「色々と鬼気迫るシーンはありますが、警察署でのシーンもその一つだと思います。現場では台本にないオーダーをしたのですが、石原さんは正常ではない境地に達して、演技を超えた世界に入っていました」と振り返った。
最後に吉田監督は「『ミッシング』は大事な作品となりました。自分の作品は全部大切ですが、そのなかでも分岐点になる一作で、多くの人に届くことを願っています。石原さんが『このままじゃ私はダメだ。自分を壊したい』という強い覚悟で挑んだその答えを出したつもりです。石原さんの本気を、一人でも多くの方に観てもらいたいです」と強くアピールしていた。
文/久保田 和馬
※吉田恵輔監督の「吉」は「つちよし」が正式表記
吉田恵輔監督がイベントで語る最新作『ミッシング』への覚悟と自信「石原さとみの“本気”を一人でも多くの方に観てもらいたい」
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