長野県諏訪市の諏訪湖で毎年9月に開く「全国新作花火競技大会」の実行委員会は9日、市役所で開き、今年(第42回大会)の開催を見送ることを決めた。中止は5年連続。昨年度立ち上げた検討委員会での協議結果を踏まえ、安心安全な大会にするための開催費用や運営体制の確保が困難と判断した。検討委は引き続き設置し、新しい形式での開催も視野に入れながら、来年度以降の大会やあり方について協議を重ねる。

 全国の花火師が技術や独創性を競う大会で、諏訪観光協会や諏訪商工会議所、市などでつくる実行委員会が開いている。8月の諏訪湖祭湖上花火大会が昨年、コロナ下の休止を経て復活した一方、新作花火はコロナ前から人材や予算の確保に課題を抱え、昨年度は検討委で今後の方向性を協議してきた。

 実行委事務局の諏訪観光協会はこの日、協賛42社に昨年度実施したアンケート調査の結果を報告。今後の大会に際し、従来通り協賛できると回答したのは2割程度にとどまったとし、物価や人件費の高騰などを踏まえると、通常開催した場合には約1800万円の赤字になるとの試算結果を示した。

 検討委では、来年度の大会開催も選択肢の一つとしながら、運営体制や民間との連携などを研究し、持続可能な大会に向けた検討を行う。関係者からの「新しい形で継続してほしい」との声に対し、事務局は「いろんな方向性を模索したい」とした。昨年は代替イベントとして、9月末から10月末の土曜日に約10分間の花火を打ち上げる「諏訪湖オータム花火」を行ったが、今年の開催は未定。

 約60人が出席した。実行委会長の金子ゆかり市長は冒頭のあいさつで「花火は諏訪のブランド。気持ちを共有しながら、未来に向かって進んでいきたい」と話した。