地雷撤去や教育支援などに取り組む「一般財団法人カンボジア地雷撤去キャンペーン」(本部・福岡市)の2代目理事長に、長崎県佐世保市の管工事業、双峰設備社長の曽和英徳さん(53)が4月に就任した。カンボジアでは首都プノンペンなどが目覚ましい発展を遂げる一方、地雷原が残る農村部との経済、教育格差が拡大。曽和さんは「安心して生きるすべを学んでほしい」と述べ、今後は教育に重きを置いた支援をしていくという。
 曽和さんがカンボジアと関わりを持ったのは、日本青年会議所九州地区長崎ブロック協議会の一員としてカンボジアの孤児院を訪ねた2001年。この時に出会った少年に「教育の支援をしてほしい」とかけられた言葉が頭に残っていたという。佐世保青年会議所の理事長だった08年、法人の協力を得てカンボジア北西部の地雷原にあるコーントライ村に中学校を建設。以降、校長と連名で卒業証書を手渡したり、サッカーの交流試合を企画したりしている。
 カンボジアでは1970〜90年代に内戦が続き、住民はその日を生き抜くことが最優先。教育の優先順位は低かった。内戦後、都市部では復興が進んだが、農村部は貧しさから抜け出せないでいる。文字の読み書きができない農村部の住民は「地雷危険」の看板の意味が理解できず、地雷を踏み足を失う。教育を受けていない親の子もまた、教育から遠のく現実があった。
 法人は、活動資金を集めて地雷撤去の支援に充て、撤去が完了した農村部に学校を建設。これまでに小、中学校を2校ずつ建て、増築もした。学校に通う子どもは増えているが、都市部との格差はまだ埋まらない。農村部には新型コロナウイルス禍の影響で、家計を助けるために学校を辞めざるを得ない子どもたちがいた。過去には出稼ぎ先で亡くなり、遺体が戻らなかった子どももいた。
 地雷撤去は9割完了しているとされ、カンボジア政府は2025年に撤去し終わるとの見通しを示す。次の段階として曽和さんは、教育環境を整える重要性を強調し「教育を受けることが格差の解消につながり、将来の選択肢を広げる。学校に通うことが子どもたちの命を守ることにつながる」と話す。

 残る地雷撤去と教育支援のため、法人は書き損じはがきを集めている。はがき3枚で1平方メートルの地雷を撤去できるという。毎月、一口500円から募金もできる。