長崎大学は安全で環境負荷の少ない《ブリの完全養殖》に向けた研究を長崎市高島で始めました。

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長崎市高島町にある長崎大学の高島水産研究所。使われなくなった市の施設を長崎大学が借り受けています。

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この施設は持続可能な水産業に向けた産学官連携で取り組むプロジェクト「ながさきBLUEエコノミー」の一環で設置されました。

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ここでブリを卵から成魚まで育てる完全養殖の研究が始まりました。

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現在流通している養殖ブリのうち「完全養殖」はおよそ2割。残り8割は天然の稚魚を採取し、養殖しています。

完全養殖を目指す先は《海外への販路拡大》です。海外展開するには飼育の履歴が明らかで安全・安心であることの他に求められる条件があるといいます。

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プロジェクトリーダー 長崎大学 征矢野清教授:
「天然の種苗を使うということは天然の生き物に負荷をかけているんじゃないですか?それを環境を考えるうえでいかがなものだろうかというのをみられてしまう、食べる物をすべて人工化で確保していくことがこれからの世界展開に必要になってくる」

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プロジェクトではエサや養殖方法を研究する一方で、日照時間や水温を調整して本来、春先である産卵時期を前倒しする研究を進めています。

征矢野教授:
「天然の子どもよりも大きな子どもが同じ時期に手に入るわけですね。大きければ魚は(病気などに)強くなってますから、生産者は少し高くても天然ものじゃなくて人口種苗を使う」

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征矢野教授らは『ブリの完全養殖・ブランド化』を進めることで、長崎の地域や水産業の活性化につなげたい狙いです。

征矢野教授:
「水産業、あるいは養殖業を中心とした働く場がこの町にできてくれれば、若者が根付いてこの町が元気になっていくだろうというのが我々の考え方なんですね。水産業をひとつの地域産業として魅力あるものとして《働く場を作る》──それがこの事業の出口として大事なところですし、この施設はその第一歩だと思います」

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このプロジェクトでは研究施設を中心に高島を「サイエンスアイランド」として人材育成の場にすることも目指しています。