【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬

【トライマイベスト】

 ニジンスキーやザミンストレルと同じく、カナダのE.P.テイラーが生産してアイルランドのヴィンセント・オブライエン調教師が管理しました(エイダン・オブライエンとは血縁関係なし)。2歳時にイギリスのデューハーストS(G1・芝7ハロン)を制覇したものの、3歳春に引退したため、ほかにビッグレースは勝っていません。

 種牡馬としてはラストタイクーンやワージブを通じて血を繋げました。前者はキングカメハメハの母の父、後者はダークエンジェル(マッドクールやシュバルツカイザーの父)の父系先祖です。トライマイベストの全弟エルグランセニョールは英2000ギニーと愛ダービーの二冠を制した名馬。牝馬三冠馬リバティアイランドは、トライマイベスト=エルグランセニョール5×4という全兄弟クロスを持っています。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「これから始まる欧州クラシック戦線における注目血統は?」

 種牡馬ジャスティファイです。現3歳が2世代目となりますが、英ブックメーカーの前売りオッズを見ると、シティオブトロイが英2000ギニー、英ダービー、愛ダービーの、オペラシンガーが愛1000ギニー、英オークス、愛オークスの1番人気に推されています。いずれもジャスティファイ産駒です。

 父ジャスティファイは現役時代に米三冠を制した名馬。現在、アメリカのアシュフォードスタッドに繋養されています。同スタッドは、アイルランドのクールモアスタッドがアメリカに持つ牧場です。シティオブトロイとオペラシンガーは、いずれも母方にサドラーズウェルズを持つ欧州仕様の配合構成です。

 外国血統の父に、欧州血統の母、という配合構成は、クールモアスタッドが所有したディープインパクト産駒、オーギュストロダン、サクソンウォリアー、スノーフォールを思い起こさせます。ジャスティファイはまだ9歳と若いので、今後このパターンの名馬がどんどん誕生してくるのではないかと思います。



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