26年にわたり越境EC事業を手掛けるネオ・ウィングは、国内外向け物流代行サービス「NEOlogi(ネオロジ)」を2020年から提供している。ネオロジは、越境EC事業のノウハウをつぎ込んだ物流支援で、2つの特許技術を持つ「容積計測」が大きな武器だ。不安な要素の多い国際配送費が、管理画面上で事前計算ができる。インバウンド需要などによる越境ECの台頭も相まって「容積計測」のニーズが高まっているようだ。


<確実な配送費を事前に表示>

――「容積計測」とは?

確実な送料計算ができるシステムだ。商品登録データから三辺サイズを割り出して最適な箱を選定する。これには2つの特許技術を用いている。
 
まず、越境ECを運営していく上で配送品質と送料が重要となる。特に、送料は最小の箱で送ることが求められる。
 
一方、従来の越境ECサイトでは、決済して梱包後に送料が計算される。このフローでは、送料計算や関税など、不確定要素の正確な確認ができない。そのため、追加料金などが発生してサイト運営者や購入者の間でトラブルになりやすい。

こうした課題を解決するのが容積計測で、最適な配送費を1回で表示する。このソリューションの本質は、双方がウィンウィンになれることが根底にある。

配送も多くの国際エクスプレスを利用できる。関税の前払い対応など含めて、越境EC事業者ならではの課題や悩みにフォーカスして、全て事前に解決してある仕組みが特徴だろう。


<累計600社を支援>

――ネオロジの現状は?

ネオロジは世界150カ国へ簡単に配送できる国内外物流サービス。初期費用は0円、月1件から利用できる非常に手軽な物流支援だと自負している。
 
越境EC事業を26年間続けている独自のノウハウを生かした物流サービスが、他社にはない大きな差別化ポイントだ。
 
サービス開始以降も順調に利用数を伸ばし、これまでに累計600社をサポートしてきた。
 
庫内作業においては、品質の高さを強みとするロジスティード(旧日立物流)の子会社であるロジスティード中部と連携している。出荷品質も利用社増の1つ。
 
また、倉庫内には複数のカメラを設置して作業の管理や品質などを確認している。カメラがあることで、越境ECならではの問題を解決できる。
 
例えば、税関での検査や商品紛失がある。税関では場合によっては、箱が空けられてしまうことがある。商品紛失は、購入者から商品が入っていないと問い合わせがくることだ。
 
これらの対策として、倉庫内にカメラを設置して動画上などで確認できるようにしている。こうしたリスクは、海外配送でよくある。
 
現在、出荷件数の増加などで倉庫拠点も新設と拡張を進めている。
 
2023年9月には2拠点目となる物流センターを開設した。庫内面積も今後、拡張していく。物流の2024年問題も考慮して、適切な拠点から出荷できる体制なども構築していく予定だ。


<一連の購入体験を網羅>

――長年の越境EC事業が物流に生かされているポイントは?

一番は売り上げアップに貢献できる点だ。
 
荷主のために何か販促支援を行うのではなく、長年のノウハウが購入から配送までの一連の購入体験を網羅できている点がポイントで、購入体験に対するケアをしっかりすることが、再購入のきっかけにもなるからだ。
 
海外発送の場合、国内物流と梱包の仕方自体が異なる。箱の中の商品が動かないようにすることは絶対条件だ。
 
越境ECを通じての購入体験は、届いた日時や状態で大きく左右されてしまう。こうしたことは全てこれまでの越境EC事業で培ってきたことだ。


<インバウンド需要捉える>

――昨今の越境ECの動向をどうみる。

新規の荷主が増えている。特に、店舗を持つ事業者が増えている印象だ。おそらくインバウンドの影響だろう。
 
荷主の中で、職人が作る比較的高単価なバッグを販売する事業者がいる。新型コロナ前後では、安いものに商流が流れて売れなかった。しかし、コロナ明けの今、円安効果なども相まって商品の流通が活発になった。
 
これまでは、安いアイテムの流通が主だったが、今はこれまでと違う風が吹いており、比較的高価な商品が息を吹き返している。実際に、訪日客が店舗に直接見に来て、商品を確認してECで購入する動線も生まれているようだ。
 
こうした動きに、荷主側も帰国後のフォローを強化するため、越境ECに再び力を入れたいという荷主もいる。今、この動向が非常に増えている。
 
もちろん、販売促進の前提にはSNSをきちんと運用して訪日客にPRしていることが前提だ。今はインバウンド需要の観点から、訪日客の全てが顧客になりうる可能性がある。特需かもしれないが、越境ECの強化のために開拓していくべきかもしれない。



■【越境ECトレンド分析】海外進出は不可避の選択肢に!?米国、中国、東南アジアの傾向は?
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■ECソリューションマップ2024【越境EC編】有力サービス紹介<カオスマップ付>
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