セラ事業を成長軸に

※自社作成

TOTOは2030年度までの長期経営計画「新共通価値創造戦略TOTOWILL2030」の売上高の目標を、21年策定時の9000億円から1兆円以上に上方修正した。半導体市場の拡大に対応し、セラミック事業を新たな成長分野に据える。海外事業では、米国、アジアでの成長を見込む。営業利益率の目標は10%以上から12%以上に引き上げ、総資産利益率(ROA)、株主資本利益率(ROE)の目標を12%以上とした。

長期経営計画の第1段階である21―23年度の事業環境を踏まえ、24年度からの3カ年中期経営計画では、米国で普及した温水洗浄便座「ウォシュレット」に加え、セラミック事業を柱に据える。

海外事業はベトナムやインド、タイをアジアの成長市場として、代理店網の拡充などに取り組む。一方で市況低迷が長期化する中国では、日本と同様に既存住宅に向けたリフォーム事業に注力する。中国事業は成長と収益の基盤として位置付ける。

ROEは23年度の7・8%に対し12%以上を目指す。清田徳明社長は「30年に向け収益性と効率性を向上させることが最大の課題だ」と力を込める。同社の企業理念を体現する「きれいと快適」「健康と環境」を両立する「サステナブルプロダクツ」の商品構成比率の目標は、21年の策定時の78%から83%に引き上げた。

なお25年3月期連結業績予想は、売上高が前期比6・8%増の7500億円となる見通しだ。外部調達コストや人材、IT関連の投資が増えるが、売上高の増加や価格改定などの効果を見込み、営業利益は同12・2%増とした。

24年3月期連結決算は、日本の住設事業でのリフォーム拡大や価格改定が寄与したため増収だったが、全利益段階で減益だった。中国で不動産の市況低迷を受けた点が響いた。米国はウォシュレットの拡販などで増収営業増益となった。