【さいたま】レグミン(埼玉県深谷市、代表取締役=成勢卓裕氏、野毛慶弘氏)は、2025年3月までに自律走行型農業ロボットの外販に乗り出す。カメラやセンサーを搭載したロボが畝の形状を読み取り、湾曲した畑でも高精度に走行して農薬を散布する。農家の減少で日本の食料安全保障が危惧される中、人件費や作業負担を軽減し、持続可能な農業を実現して国産野菜の安定供給を後押しする。

自律走行型農業ロボットは全地球測位システム(GPS)を利用して走行し、左右に伸びたアームが一度に複数の畝に農薬を散布する。1ヘクタール当たりの散布時間は約3時間。1回の給水で最大300リットルの農薬を散布できる。稼働時間は1回の充電で約8時間。

レグミンは農家向け農薬散布代行サービスで自社開発の同ロボットを運用していた。改良を重ねて故障頻度を抑えることに成功し、遠隔でのサポート体制も整備できたため、外販を決めた。ロボは深谷市名産のネギ農家のほか、キャベツやブロッコリー農家なども利用できる。価格は500万―600万円で、25年中に20台の販売を目指す。

設定やコントローラーの操作方法などのトレーニングは、当面同社が無償で実施する計画。トラブル発生時にはテレビ電話などを使って遠隔でサポートし、ロボに不慣れな農家でも安心して利用できるようにした。

同社によると、相対的に小さな畑(2000―3000平方メートル程度)では小型で運搬しやすい動力噴霧器を使って農薬を散布する農家が多い。だが散布量が少ない上、ノズルを持って畝を歩きながら散布するため、負荷が大きく重労働だった。高齢化が進む農家にとって問題視されており、日本の農家人口が急減する中で国産野菜の安定供給が危ぶまれていた。