<第33回日本映画批評家大賞授賞式>◇22日◇東京国際フォーラム

「さよなら ほやマン」(庄司輝秋監督)に主演した2人組ラップグループMOROHAのラッパー・アフロ(36)と、劇中で兄弟を演じた共演の黒崎煌代(22)が新人男優賞(南俊子賞)を、そろって受賞した。

アフロが劇中のほやマン衣装で登場した後、仕事の都合で欠席した黒崎のビデオレターが流れた。

「新人俳優の黒崎煌代です。アフロさんとのダブル受賞が、うれしいです。少年時代から映画に憧れていた。映画界に受け入れられたと思うと、胸がいっぱい。スケジュールの折り合いが付かず、申し訳ありません、映画の授賞式に憧れがあり、残念です。また呼んでいただけるよう、精進します」

黒崎のビデオレターを見たアフロは「まずは、黒崎が来られないこと、すごく寂しく、うれしく思います。現場で仕事しています。もう1人と、弟ができたようなことが映画の魅力になった」と黒崎の欠席を惜しみつつ、成長し、仕事があるからこそ欠席したことを喜んだ。

「さよなら ほやマン」は、作品の舞台となった宮城県石巻出身の庄司輝秋監督の、長編映画デビュー作。アフロは、同監督が執筆したオリジナルの脚本を読み、物語と主人公に深く共鳴し、製作側の熱烈オファーに映画への初主演を決意。石巻の離島で両親を亡くし弟と懸命に生きてきた、ほや漁を営む漁師の阿部アキラを演じた。役どころの全てを演じるため、小型船舶の免許を取得し、素潜りのスクールに通うなど万全の準備を尽くし、撮影に臨んだ。黒崎は今作が俳優デビュー作で、アキラの弟シゲルを演じた。

アフロは、初主演した理由について聞かれると「ラッパーなのでラップを書きました。レリックを書く…彼の気持ちになれるので、できると思ってお受けしました」と語った。そして「(受賞の)発表から、いろいろなオファーをいただいて断っています…と格好つけたいけど、1個も来ていない。偉い方もい、っぱい来ていると思いますので、いいものを作りましょう」と、映画各社に出演を“逆オファー”した。