栃木県那須町の河川敷で焼損した夫婦の遺体が見つかった事件で1日、栃木県警と警視庁の合同捜査本部は死体損壊の疑いで若山耀人容疑者(20)と韓国籍の姜光紀容疑者(20)を新たに逮捕した。

 若山容疑者は2014年に放送されたNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」で岡田准一(43)演じる主人公・黒田官兵衛の幼少期・万吉、官兵衛の息子・松寿丸の二役や、2013年放送のテレビ朝日系「仮面ライダーウィザード」、2018年公開の映画「曇天に笑う」などの人気作にも出演する人気子役だった。そのため、過去の動画配信やコンテンツ販売などに影響が出るのではないかと心配する作品ファンの声も続出している。

《「とっくに引退した子役」が「成人してから」犯罪したのを理由に作品がお蔵入りになるなら、生身の人間使った作品なんてリスク高くて作れない》という意見も見受けられた。

 昨年6月27日に自殺ほう助の疑いで市川猿之助(48)が逮捕された際は、猿之助が出演していた大河ドラマ「鎌倉殿の13人」やドラマ「岸辺露伴は動かない」の一部エピソードが配信停止となったが、視聴者からの批判の声が上がったことで、「原則的に有料サービスでの視聴であるNHKオンデマンドでは出演者の逮捕などの不祥事を理由とした配信停止は今後、行わない」と方針をNHKは打ち出していた。

 一方で「事案によっては総合的な判断で例外的に停止する可能性はある」とも述べていただけに、昨年8月にNHKオンデマンドで配信が始まった「軍師官兵衛」には配信停止への懸念が高まっている。

■「軍師官兵衛」は配信継続

 NHKに、若山容疑者の逮捕を受けて現状の方向性について話を聞くと、「動画配信サービスの利便性を守るためにも、一部の出演者の影響による配信停止は原則的にしませんが、今後若山容疑者が関与している事件の推移や状況によっては、今後も適宜判断をしていく予定です。またNHK for Schoolという学校向けコンテンツのアーカイブを無料配信しているサイトでは、若山容疑者が出演されていた二つの動画はすでに配信停止措置を行なっています」(広報局)と回答があった。

 若山容疑者は「軍師官兵衛」以外にも、2016年放送の「精霊の守り人」「鼠、江戸を疾る2」などのドラマだけでなく、「未来広告ジャパン!」(NHK Eテレ)という小学校5年社会科向け学校放送番組にも出演しており、NHKが多く起用してきたことが伺える。

「2019年にもドラマ『ホームレス中学生』に主演した元子役が、特殊詐欺の“受け子”を行い、逮捕されました。子役の起用は、後々このように犯罪を犯すリスクも当然あり、事務所を辞めてしまえばハンドリングも難しい。改めて子役起用リスクの問題点が浮き彫りになった印象です」(ドラマ制作関係者)

 現在放送中の朝ドラ「虎に翼」は、幼少期シーンに子役を使わなかったことで賛否が起きたが、幼少期から晩年を描く大河ドラマでは、さすがに今後も子役を使わないわけにはいかないだろう。

「子役でも作品の価値を下げる犯罪を犯した際は、賠償金を払うことを前提とした誓約書などを提出してもらうなど、今後テレビ局は子役起用のリスク回避策を考える必要が出てきたのではないでしょうか」(同)

 子役が成人してから問題を起こすことまで想像して起用するのは至難の業だが、今後、テレビ局や制作会社は、子役起用のリスクにも頭を悩ますことになりそうだ。