【家電のことはオイラに聞いて!】#50

 ゴールデンウイークも過ぎ、暑さを感じる日も多くなってきました。とはいえ、エアコンをギリギリまで稼働させたくないという思いは、今の物価高の日本で暮らす人に共通するのではないでしょうか?

 日陰で風をうまく利用すると十分涼しいように、今の時期に便利なのは送風機です。

 昔ならば扇風機一択でした。扇風機は人に涼しく感じてもらうための送風技術を進化させてきた家電です。2010年に特殊形状の羽根、直流モーターでバルミューダが高級扇風機市場を切り開いて以降は、ほとんどのメーカーが高級扇風機を主戦場にしていて、「微風」にこだわったモデルがほとんど。音声で動くモデルも出ています。

 送風機のもうひとつの雄はサーキュレーター。部屋の空気温度を一定にするため、小さいながら、遠くへ届く風をつくり、部屋の空気が均一になるように撹拌します。人以外にも部屋干しした洗濯物を乾かしたり、窓開け換気のサポートにもよく使われます。

 昔と違って、送風機は季節家電ではなく365日使う家電になりました。そのため、各メーカーは自分の得意分野を鑑み、サーキュレーターの機能を取り込んだ扇風機、あるいは扇風機の機能を取り込んだサーキュレーターという、いわゆる機能ハイブリッド型を主流に据えるようになっています。

 ハイブリッド型は何をベースにするかによってかなり異なります。扇風機ベースは人に優しい風をつくり出しますが、当たる風の面積が大きくなかなか遠くまで風を運べません。加えて一年中出しっぱなしにするにはサイズが大き過ぎます。サーキュレーターベースは、出しっぱなしでも目障りではない大きさ。軽いので移動も簡単。ただ風のニュアンスはイマイチで、動作音も大きいという特徴があります。

■サーキュレーターベースがイチ推しなワケ

 どちらも一長一短がありますが、エアコンが必需品となった時代を踏まえると、筆者はサーキュレーターベースを推します。理由はサイズとデザインです。

 扇風機のほとんどが羽根の後ろにモーターがある構成で、それを人の高さまで持ち上げます。支柱は多くの場合70センチ程度。理由は座っている人に、横から風が当たるようにするため。重いものを上に取り付けるので、同サイズの重量の土台が必要にもなります。扇風機の土台が大きいのはこれが理由です。この基本構成と異なるのは、羽根がないダイソン製くらいです。土台が大きいと移動も面倒。材料も多く使うため価格もそれなり。面積が広いのでホコリも付きやすい。出しっぱなしには厳しいのです。

 サーキュレーターの弱点は、風と動作音ですが、この点メーカーも意識しており、新製品はかなり改善されています。

 今年、送風機市場に参入したシャープは、フクロウの羽根形状から学んだ羽根を導入していますし、ツインバードは、扇風機の多枚羽根のファンを導入してきました。今後のハイブリッド・サーキュレーターに注目です。

(多賀一晃/生活家電.com主宰)