29日の巨人対ヤクルトの一戦は、助っ人のデキが明暗を分けた。巨人先発のグリフィン(28)は4回8失点でKOされたのに対し、ヤクルト先発のヤフーレ(25)は9回をわずか94球、3安打完封勝利である。

 巨人とヤクルトの大きな違いは、助っ人の活躍度だ。巨人は近年、特に野手が成功したケースはほぼない。今季はオドーア(年俸約2億円)が一試合も出場することなく開幕前に帰国。過去5年を見ても、2019年ビヤヌエバ(同2億2000万円)、20年パーラ(同1億6000万円)、21年スモーク(同2年総額6億2000万円)、テームズ(同1億2500万円)、22年ポランコ(同2億5000万円=23年ロッテ移籍)は首脳陣の期待を裏切り、わずか1年で退団した。

 メジャーでの実績を評価して高年俸で獲得したものの、これが裏目に出ているのが現状だ。

 助っ人の育成も機能しているとは言い難い。メジャーでの実績がなく、日本球界に活路を見いだした米独立リーグ出身のウォーカー(22年=3400万円)は、来日1年目に23本塁打をマークしたが、外野守備に改善が見られず、昨オフにソフトバンクへトレード。多数の若手を育成契約で獲得しているものの、一軍戦力には育っていない。

 一方のヤクルトの野手は、オスナ、サンタナ(ともに31)の中軸コンビが活躍。21年、22年のリーグ連覇に貢献し、在籍4年目を迎えた。

 ともに28歳だった20年オフ、年齢的にメジャーでの出場機会が減ったタイミングで獲得した。打つのはもちろん、走塁でも全力プレーを怠らない。年俸8400万円でスタートしたオスナは、1年目を終えたオフに3年契約(今季3億円)。サンタナも、1年目の1億400万円から徐々に年俸が上がり、今季は3億6500万円である。

「いくらメジャーで実績があっても、日本の投手のレベルは上がっているうえ、一昔前よりメジャーの控え組やマイナーの野手のレベルは低下している。落ち目の選手が簡単に成功できるほど甘くない。なまじメジャーでの実績がある分、プライドが高く、日本のコーチの指導に聞く耳を持たないケースもある。二軍調整を拒否したオドーアがいい例です。今の時代、選手を見る目があるのはもちろん、メジャーに定着できなかった27歳前後の選手を日本で数年かけて育てるくらいでないと活躍は難しい。ヤクルトはそうした選手を発掘し、育成しているから、それだけ成功例が多いのです」(パ球団渉外担当)

 ヤクルトはかねて、ペタジーニやラミレス、バレンティンといった多くの助っ人野手が活躍してきた。巨人もむやみに大金を使って失敗を繰り返すくらいなら、ヤクルトのスカウティングと育成を参考にしたらどうか。

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 巨人の得点圏打率は12球団中11位。
 
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