実に88年ぶりの大記録だという。

 巨人の戸郷翔征(24)が24日の阪神戦で昨年9月の山本由伸(現ドジャース)以来となる史上89人目のノーヒットノーランを達成。巨人投手による阪神戦での記録達成は1936年の沢村栄治以来の快挙となった。

「やっと緊張から解き放たれました。(記録を意識したのは)六回が終わった時点で、あと(アウト)9個かと。八回が終わって、本当にできるのかなと思っていました。1対0だったし、1点もやれない状況で抑えられたのはよかったです」

 試合後、達成感に浸ったエースは、メジャー志向を公言している。昨年3月のWBCでリリーフとして世界一に貢献。ダルビッシュや大谷らから刺激を受け、

「今までずっと行きたくて、ずっと夢。実際にアメリカに行って、よりそうなった」

 と、メジャー挑戦の希望をはっきり口にするようになった。

「巨人では4番の岡本和真と並んで、早ければ今オフのポスティングによるメジャー挑戦を想定して、複数の球団がスカウトを試合に派遣して調査を継続しています。WBCでは2試合に投げて防御率1.80。いずれもリリーフ登板だったため、昨年から先発としての適性、能力を各球団スカウトが繰り返しチェックしていて、特にフォークボールは高い評価を得ている。この日のノーヒットノーランは、獲得に興味を示すメジャー球団へのいいアピールになったはずです」(ア・リーグ球団の国際スカウト)

 現在、メジャーの先発としてプレーする日本人投手のうち、カブスの今永昇太(30)、ドジャースの山本由伸(25)、タイガースの前田健太(36)が日本時代にノーヒットノーランを達成。右肩痛で故障者リスト入りしているメッツの千賀滉大(31)もそうだ。ノーヒッターの勲章を手に海を渡ったこの4人はいずれも、総額100億円以上(出来高込み)の大型契約を結んでメジャー入りを果たした。

 戸郷の快投で連敗を4で止めた巨人の阿部慎之助監督は当然、「いや、もう、素晴らしい。それしかないです」と満面の笑み。「ジャイアンツを引っ張っていく存在。開幕(投手)に指名したのも僕。意図に気づいてくれているはず」と続けたが、この日の快挙でエースのメジャーへの思いは加速しそうである。

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 日刊ゲンダイは過去に戸郷の母・ヒトミさんに取材を実施。釣りと野球が大好きだった戸郷は幼少期から暇さえあれば竿か球を握っていたという。ヒトミさんや、母校・聖心ウルスラ学園の小田原斉監督が語った仰天エピソードの数々とは……。

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