在米17年の国際弁護士、吉田大氏は10日、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月〜金曜午前8時)に出演し、ドジャース大谷翔平投手(29)の元通訳、水原一平被告(39)が大谷の口座から総額1697万5000ドル(約26億3000万円)を盗んだとする銀行詐欺などの罪を認め司法取引に応じたことに関し、同被告が将来的に日本に強制送還される可能性が取りざたされている背景を解説した。

8日(日本時間9日)の米司法省の発表では、水原被告はこれまで明らかになっていた銀行詐欺に加え、納税詐欺の罪状に関しても司法取引に応じた。銀行詐欺罪は最長で禁錮30年、うその申告による納税詐欺は最長で禁錮33年となるが、司法取引によって減刑される見通し。また合意文書には、水原被告の将来的な日本への強制送還の可能性にも触れられていると報じられている。

番組MCのフリーアナウンサー羽鳥慎一から、水原被告は米国で収監されずに日本に戻るのかと問われた吉田氏は、「原則的にはアメリカで犯した罪については、アメリカで刑期を全うする。その後に別途、移民局での手続きが恐らくどこかのタイミングで始まる。犯罪を犯した人は基本的にはアメリカにいられないので、(国外)退去という手続きがとられる可能性が高いと思う」と指摘。強制送還は、原則として刑期後になるとの見通しを示した。

羽鳥に「仮に禁錮6〜7年となった場合は、その後に、ということ」と問われると、吉田氏は「はい。禁錮刑を全うするのであれば、全うした後に」と述べ、犯罪歴のある人物に対しては米国は入国を拒み、就労ビザがあっても、はく奪するというのが「原則的な考え」とも指摘した。

今回当局が発表した資料に、裁判で有罪になった場合、米国から強制送還される可能性に言及した記述があることについては「司法取引の際には2つの重要なことがある。1つは自由意思、あなたの意思でやっているという確認。もう1つは司法取引の意味。応じると、基本的にここに書いている事実は争うことができず、気が変わってやっぱり裁判をしてくださいということはできない。これがどのような影響を持つか説明する義務がある」と述べた。「その一環として、最悪、国籍を持たないのであればこのようなビザ的なことが起きるかもしれないということはすべて書く、という点で、わざわざ和解文書に書いてある。後で『そんなつもりはなかった、知らなかった』ということになると、そもそも司法取引の有効性が疑われる。ここに関しては非常に重要なポイント」とも指摘した。