バドミントン男子で元世界ランク1位の桃田賢斗(29=NTT東日本)が6日、団体世界一を決める国・地域別対抗戦の男子トマス杯が行われた中国から成田空港に帰国し、約10年の日本代表生活を振り返った。「やり残したことはないです」とすがすがしい表情を浮かべた。

4月18日に今大会限りでの代表引退を表明。予選リーグでは3試合に出場したが、準々決勝のマレーシア戦では出番がないまま終戦となった。その直後は「今までみんなと過ごしてきた時間を思い返して、ちょっと泣きそうになった」というが、「めっちゃこらえました」と涙は見せずに代表活動に別れを告げた。

最後の大会は「楽しむ」と心に決めていた。「ネガティブな気持ちで試合をするのはやめようと思っていた」。応援にも全力を注ぎ「それで喉を壊しちゃったんです」と笑顔。現地では海外の選手たちやファンから「お疲れさま」と何度もねぎらわれたといい、「選手として誇らしい10年だった」とかみしめた。

今後は主に国内で現役を続けながら、子どもたちとの交流活動などにも尽力していく。代表入りを逃したパリオリンピック(五輪)の期間中は「一観客として、純粋に日本代表の選手たちを応援したい」と語り、「出たい人がたくさんいる中で、出場権を手にした選手たちには、誇りをもって全部出し切って、観客の皆さんを魅了してもらえたら」とエールを送った。

約6分半の囲み取材の最後には、「ありがとうございました!」と声を張り、深々と頭を下げた。顔を上げると、「最後ですね」と笑いながら、和やかに取材対応を終えた。【藤塚大輔】