36年ぶりの自力出場でパリオリンピック(五輪)に臨むハンドボール男子日本代表の司令塔、安平光佑(23)が、自身初となる五輪へ向けて決意を語った。10日、都内の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で練習を公開。「(五輪出場が)夢だったので、モチベーションがどんどん上がっている」と胸を高鳴らせた。

身長172センチと小柄ながら、スピードを生かしたプレーが持ち味。22年に日本人男子で初めて欧州CLに出場を果たすと、昨秋の五輪アジア予選決勝ではチームトップ10得点で勝利に貢献し、切符獲得に導いた。今年4月に7年ぶりに復帰した元スペイン代表のカルロス・オルテガ監督(52)から「非常に素晴らしい選手。さまざまな局面で決断力があり、守備も攻撃も優れている」と、絶賛されるスター候補。「味方を生かしてゲームコントロールするのが役割。合宿でコミュニケーションをたくさん取りたい」と、貪欲にスキルアップを求めていく。

富山県氷見市出身で、元日の能登半島地震は同市内で被災。「すぐに山に登った。怖かった」と振り返る。それでもすぐに立ち直れたのは、背中を押してくれる存在があったから。「地元の人たちに応援されることは本当に幸せなこと。五輪で結果を残して、氷見の人たちに感動を与えたい」と、プレーで地元への恩返しを誓った。

同所で12日まで合宿を行った後は、参戦中のマケドニアリーグへ復帰する過密スケジュール。それでも、若き日本の頭脳は笑顔で「ハンドボール人生の中で五輪に出る機会はあるかないかなので、全力で取り組みたい」と、先を見据えていた。【野見山拓樹】