◆ウエスタン・リーグ ソフトバンク4―5広島(30日、タマスタ筑後)

 ソフトバンクの育成2年目、重松凱人外野手(24)=福岡・戸畑高―亜大=が公式戦初出場し、マルチ安打を放った。「相手が(NPB)12球団のユニホームを着ていると、いつも以上に緊張するし、いつも以上に力がこもると感じた」と汗を拭った。

 「1番左翼」でフル出場。初回は空振り三振。3回に先頭打者として左前に安打を放つと、正木の適時左前打で先制のホームを踏んだ。4回にも2死一塁から安打を記録。「大道3軍打撃コーチから『おまえの持ち味は積極性だ』と言われていたのに、1打席目は初めての2軍の打席ですごく緊張して、初球を振れず後悔が残った。そこからの打席は何が何でもファーストストライクからいくという気持ちが結果につながった」と振り返った。

 その後の打席は空振り三振と遊飛。5打数2安打だった。「悔しい気持ちが残ったまま試合が終わってしまった。明日(5月1日)は何とかしたいっていう気持ちがある」と強調した。

 プロ野球通算404本塁打を放った大砲、中村紀洋氏のフォームを参考にしていることから、大道典良3軍打撃コーチからは「3軍にはノリがおるけん」と称されている。今季はファーム非公式戦で37試合に出場し打率3割5分4厘、7本塁打と結果を残してきた。4月中旬からの韓国遠征にも参加し「(今季は)バッティングで結果が出始めて、韓国でも知らない投手や、環境が変わっても続けられたっていうのがすごく大きい」とうなずく。

 育成から支配下選手となった仲田慶介と緒方理貢、川村友斗の活躍も刺激になっている。3人とは3軍で一緒にプレーしたことがあり「身近にいた選手が1軍で活躍している姿を見ると、自分も頑張らないといけないし、絶対負けないぞという気持ちで毎日やっている」と明かす。

 それでも、まずは2軍の舞台を目指してきた。3、4軍にいる時でも、2軍の結果が気になった。どの選手が打って、どういうバッティングをしているのか―。「自分が2軍に行ったら、こういうプレーをしたいなとか考えていた」と語る。

 そのチャンスが、韓国遠征中に来た。高波文一3軍外野守備走塁コーチから「帰国したら2軍に行くぞ」と声をかけられた。

 「準備はできています」と重松。2軍参戦は30日と5月1日の2日間の予定だというが「コーチには『もう(3軍には)帰ってきません』と言ったので、それくらい結果を出せるように、明日も頑張りたい」。2軍でタイトルを取ることを今季の目標に掲げる中、〝3軍のノリ〟がようやく2軍でのスタートラインに立った。(浜口妙華)