◆西武3×―1日本ハム(1日、ベルーナドーム)

 4年目の伏兵が4連敗中の重苦しい空気を吹き飛ばした。2回に先制ソロを放った西武の若林が、同点で迎えた9回2死二塁で自身初のマルチ弾&サヨナラ弾。日本ハム・斎藤のスライダーを振り抜き、西武ファンが待つ左翼席に放り込んだ。

 「本当に苦しいゲームだったので…。入ったかどうか分からなかったけど、良かった」。チームにとって今季初のサヨナラ勝ちに松井監督は「いやもう、最高ですね」と表情がほころんだ。

 左膝の2度の手術を乗り越え、今季が正念場と位置づけた若林は開幕から16打数無安打で一度2軍落ち。4月21日に再昇格した後も内野安打2本だけで、試合前まで打率0割7分7厘だった。

 「自分が出ていいのかって思うときもあった」と悩む若林を後押ししたのが、前日4月30日の試合後に行われた選手間ミーティング。中村剛が野手に「形にばかりこだわり投手と対戦できていない。相手に(自分たちへの)怖さがない」と訴えた言葉に共感。凡退すれば15連敗中の延長に突入する重圧もはねのけ、初球から自信を持って振った。

 「自分が一番良いプレーヤーと思って全員立たなければ本当に戦う姿勢にはならない。その雰囲気づくりをまた全員でして戦っていきたい」。お立ち台で最後に若林はこう宣言した。6勝17敗だった悪夢の4月が終わり、5月を劇的な勝利で発進。獅子はここから巻き返す。(末継智章)