◆JERA セ・リーグ 巨人4―0DeNA(15日・福井)

 巨人が今季8度目の0封勝利でDeNAとの北陸シリーズに2連勝し、首位をキープした。西舘勇陽投手(22)は2番手で1回無失点の力投を見せた。

 西舘が変身した。2―0の7回に2番手で登板して1回無失点。14球中13球は代名詞の超速クイック投法ではなく、左足を上げて投球した。宮崎を捕ゴロ、牧を空振り三振、筒香を捕ゴロ。岩手・花巻市出身(青森山田OB)で同い年の堀田が6回無失点と好投し、岩手・一戸町出身(花巻東OB)の西舘が相手主軸を完璧に封じて「花巻リレー」を完成させた。

 西舘といえばクイック投法が大きな特徴。福井県営球場の記者席で見ていた私は、次の球は左足を上げるのか、いつクイックで投げるのだろう、という視点で注目していた。相手打者も同じような感覚だったのではないだろうか。結果的にクイックで投じたのは宮崎の4球目のみ。その他は球種問わず左足を上げて幻惑し、最速153キロの速球と変化球でねじ伏せた。

 これまでもタイミングを外すために左足を上げることはあったが、これほどクイックが少なかったのは初めて。試合後、本人に聞くと「そういうところでタイミングを外せたらと思ってやっています。自分の中では試しながらやっているので、どういう形になるか分からないですけど、今は探し中です」と意図を明かした。

 4月は開幕から10試合連続無失点を記録した後、2登板連続失点も経験。プロのレベルの高さを感じながら日々、模索している。「ちょっとまだ力んで体を振っちゃうところがあるから、8割ぐらいの力でいったらと言って。多少は前よりは力感なく投げられたかな」。阿部監督が、変身のもう一つの狙いを説明した。

 貴重な勝ちパターンの一人として期待される西舘。新スタイルでの快投を見て、ルーキーの引き出しの多さを実感した。(巨人担当キャップ・片岡 優帆)

 【村田真一Point】西舘は球威が戻ってきたね。多少、甘い球もあったけど、指先にまでしっかりとパワーが伝わっていて、質のいいフォーシームで、シュート回転することがなかった。走者を出さないこともあってスーパークイックはなかったものの、腕が十分に振れていたね。疲れのせいもあり、開きが早くなって打者から見えやすくなっていた時期もあったけど、いい調整ができたのかな。