◆西武1―0ソフトバンク(3日、ベルーナドーム)

 憧れの打者への思いを断ち切ったルーキーの見事な投球だった。4度目の先発マウンドとなった西武のドラフト1位ルーキー、武内夏暉投手(22)が首位を突っ走るソフトバンク打線を牛耳った。8回4安打無失点で8三振を奪う力投で4月3日のオリックス戦(ベルーナドーム)以来のプロ2勝目を飾った。

 小学生のころから約10年間ソフトバンクのファンクラブに入っていた武内。小学生の時に試合前練習で柳田悠岐の鋭い打球に感動し、プロ入り後は対戦を望んでいた。

 その柳田との対戦が再三、試合のポイントになった。初回1死一塁での初対決は初球の148キロの直球でバットを折って二ゴロに。「自信になったと言うより、(柳田さんを相手に)しっかり投げられたなと思った」と抑えられる手応えをつかんでいた。

 4回1死からは149、150キロの速球を続けて追い込み、118キロのカーブで空振り三振に。「目線をずらすためにカーブを使った」とこのスローカーブが相手を苦しめた。

 初めて三塁に走者を背負った6回2死三塁で再び柳田を迎えると、ルーキーらしさはマウンドから消えていた。2ボール、2ストライクからの6球目は内角の厳しいコースに149キロの速球を投げ込んだ。このボール球を柳田はのけぞるように見送る。これが7球目に生きた。フルカウントから120キロの大きなカーブに柳田のバットが空を切り、この試合の最大のピンチを武内が堂々と乗り切った。

 山川にもカーブを多投して三振を奪うなど安打を許さなかった。捕手の炭谷は「(要所で)思った通りの球を投げてくれた。新人がね」とサイン通りにミットに収まるボールに目を丸くしていた。武内も「投げるからには自信を持って腕を振った」と柳田、山川のバットから快音を消した投球に胸を張った。

 ルーキーの2勝目に松井監督は「物おじしないで相手を攻めていくマウンド度胸が素晴らしい。銀ちゃん(炭谷)も武内のいいところを引き出してくれた」とバッテリーの活躍に頭を下げていた。

 チームはソフトバンクに今季初勝利でこのカードの連敗を6で止め、4月7日の日本ハム戦(エスコンフィールド)以来、今季4度目の2連勝。「なんとか(ソフトバンク戦で)イチ(勝ち)をつけられた。その意味で大きな試合だった。これから一つ一つ。明日また頑張りたい」とまずはこのカードの勝ち越しを目指していく。
(安田栄治)

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