ソフトバンクを徹底取材する「西スポWEB OTTO!」、と球団公式チャンネル「ホークスTV」によるコラボ企画「鷹番が聞く!解説しちゃOTTO」。ソフトバンクの選手自らがあの試合、あのシーンを詳しく解説してくれます。第2回は新加入でソフトバンクの新たな4番打者として活躍を続ける山川穂高内野手(32)が登場します。後編は3度の本塁打王を獲得したアーチストならではの「本塁打論」について語ってもらいました。(聞き手・構成=小畑大悟、鬼塚淳乃介)

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 ―人生で最初の本塁打はいつか。
 「ちゃんとした球場で打ったのは高校1年生の時ですね。1年生だけの大会があって、その時に初めて打ったと思います」

 ―ホームランを意識したのは野球を始めた頃から。
 「中学ぐらいです。小学校の時はあんまり考えてなかった。中学校の時から体が大きくなっていくに伴って、ボールが飛ぶようになってからですね。その時からホームランが打ちたいなっていうのは思ってました」

 ―常に求めていきたいものである。
 「ちょっと極論の話ですけど、ボールを遠くへ飛ばせるか飛ばせないか。速い球を投げられるか、速い球が投げられないか、が野球選手のまずと僕は思っていて。足が速いか遅いかも含めてですけど、ボールを遠くへ飛ばす能力が人よりあるのであれば、それを磨いていった方が絶対よくて。もし人よりボールが飛ばないなって言うんだったら、それ以外の生き方で生きている人はいっぱいいるので。守備がとにかく上手になったりとか、ミートがうまいとか。そうやって僕は分けられてきたので。そういう意味で僕はホームランを打てるタイプ。それを崩すことなくプロに入ってもずっとやってこられたのは、それが1番いいかなと思います」

 ―野球人生の中で転機となった1本は。
 「やっぱり高校1年生の時のホームラン。辞める気満々でしたから」

 ―いつのこと。
 「11月ぐらいですかね。どの球場かはちょっと覚えてないんすけど、左中間に打ちました。スライダー。うれしかったですね」

 ―野球を辞めようと思っていた。
 「もうそれがなかったらやめてました」

 ―そこで自分の長所を気づけた。
 「ホームランがうれしかった、楽しかったっていうので。ホームラン打つのってこんなにいいものなんだっていうので。練習って基本きついですし、めんどくさいものなので。そこでホームランを打つ楽しさがあるので乗り越えられるものかなと思います」

 ―ホームランを打つための練習や土台は。
 「ホームランを打つための練習はやっぱホームランを打つことしかないと思うので。ホームランを打つ打ち方ってやっぱいろんな打ち方ありますけど、まずはボールを遠くへ飛ばすこと、飛ばそうとすることが大事だと思います。でもボール遠くへ飛ばそうとして体を思いっきり振ったところでボールで飛ばないので。どうやってこのバットっていうのを最大限加速させていって、自分の体重とか力をボールに伝えて打つかっていうのをやっぱより研究していかないと。練習でセンター前をずっと打っている人が、試合でバンバンホームランを打つっていうのは僕は難しいと。やっぱり(西武の)中村(剛)さんが僕の一番の師匠っていうか。もう本当に生きた教材みたいな感じで。中村(剛)さんの全盛期を含めて見てきましたけど。一生ホームランを打ってたんで練習から。中村(剛)さんも、メヒアも。そういうのを見て、ああ、やっぱりホームランバッターって練習からホームランにするんだなっていうところです」

「パーンって打った、この一瞬だけめっちゃうれしいです」…次ページ

 

 ―ホームランを打った瞬間でいつが一番気持ちがいいか。
 「ここ(目線の先)です。芯に当たって、ここに上がったらホームランなんで、この瞬間が一番うれしいです。一周回った時期ってそんなうれしくないです」

 ―次を考えている。
 「いや、普通に走るのがめんどくさい。はあはあするので。だから、こうやってパーンって打った、この一瞬だけめっちゃうれしいです」

 ―そのポイントにいけば間違いなく入ると。
  「そうですね。自分の目線より上に上がって、こっからすぐそこまでの間、多分180㌔とか何㌔ぐらいでバンっていくんですけど、すぐ分かるので。その角度がちょっと低かったり、ボールのスピンのかかり方が悪かったりするのって、感触とか自分の打った瞬間に分かるので。そういう時は、あれどうかなって思う時は走りますし。(4月30日の第6号)みたいに打った瞬間にああいったわ、と思ったら歩きますし。やっぱこの右手に残る感じが一番好きですけどね」

 ―自身にとってホームランとは。
 「ホームランはホームランですけどね。死ぬほどホームランを打ちたいので。多分それを思ってるのって僕は結構日本の中でもトップクラスじゃないかなって思っているので。もう全然おまけとかじゃなくて、ホームランを打ちたいなって思いながら毎日練習して、球場来て。朝から晩までホームランを打ちたい、ホームランを打ちたいと思っているので。そういう意味ではなんですかね…人生、人生そのものって感じですかね」

 ―1年間、多くても50本ぐらいの一瞬のために。
 「ほぼ失敗するんでムカつきますけどね。ずっとやっぱ打てないので。ヒットを打ったり、タイムリーヒットを打ったりとかもめちゃくちゃうれしいんですけど。ホームランのあの感触とかは何にもかなわないんじゃないですかね。みんな打ってみてほしいですけどね。1回本当に味わってほしいなと思いますけどね。何万人にも見てるわけじゃないですか。で、あんな速い球が来るじゃないですか。それで、当たって、ボールもばーって飛んでいく感じ。ぜひ味わってほしいですけどね。なんか共有できないのが。なんか大したことないでしょって、多分思っている人ももしかしたらいるかもしれないですけど。ギータ(柳田)さんとかとも話しますけど、やっぱりホームランに勝てるもんないっていう。生きてる喜びで、どんなおいしい飯を食うよりも上です。そのぐらいうれしい」

 ―練習時はあまりフルスイングしているようには見えないが。
 「振ってますよ、ちゃんと。だけど、思いっきり振っても飛ばないんですよ、ボールって。思いっきり120パーセントで振ってもちゃんと飛ばなくて。だからと言って軽く振っても飛ばないですよ。本当にいいところがあるんで、力の入れ方。結構それは得意な方じゃないですかね。練習だったら。試合だったら、それに余分な力が入ったり、外的要素があったりするじゃないですか。ここ絶対打ってほしいってみんなが期待する場面とかだとおのずと力入りやすいし。その時に力を抜こうとか、リラックスしようって思うと、逆にひゅって抜けちゃうんですよ、腹の底から。そのバランスがすごい難しい。練習ぐらいの感覚でぽんぽん打てたら80本ぐらい打ってくれると思うんですけどね。なかなかそうもうまくいかない。練習の時にいいポイントで、いいバランスでホームランを打つっていうのは、ホームランバッターはやった方がいいと思いますね」

 ―意識してホームランを打つ。
 「練習でホームランを打たないと。僕がもし小学校とか中学生とか高校生とかの指導してってなった時に、全員に飛ばせって言いますけどね。まず。イチローさんでも練習で一生ホームランを打つわけで。どんなバッターでも、まずちゃんとホームラン打った方がいいなと思いますけどね」

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