高齢化や人口の減少などによって農家の数が減少しています。
そんな中、他業種の企業が農業に参入するケースが大分県内でも相次いでいます。
つやつやで真っ赤に染まった野菜。「温泉パプリカ」です。
作っているのは九重町にあるハウス。
広さ約3万平方メートルで、大分県九重町の地熱を利用してハウスの中を温めています。
その燃料費は?
タカフジ 背戸克稔顧問
「ゼロです。少々燃料代が上がっても大丈夫です」
8年前から本格的に栽培を始めいまでは、生産量年間約500トン。
全国にも出荷しています。
作っているのは農業のスペシャリストと思いきや・・・
大分市に本社を置くタカフジ。
プラントや塗装などの工事をする建設会社です。
2013年、農業分野に新規参入しました。
発電事業や林業にも参入、大分市で温泉パプリカなどを使ったメニューを提供するレストラン「いろのわ」も経営。
もともと農業の知識は?
愛彩ファーム 松尾崇史専務
「いえ、始めた当初は全くなくて手探り状態で」
農業への新規参入企業。
その数これまでで350社以上!なぜ異業種が次々に農業を始めるのか。
その背景は?
佐藤アナ
増え続ける農業への企業参入、その背景を見ていきます。
大分県は17年前から農業に参入した企業の統計を取り始めていて、当初は11社でしたが2年後の法律改正で参入できるハードルが下がったため、翌年には35社が参入しています。
ここ数年も安定的に増えていて9年間連続で20社を超え、県の目標を達成しています。
これまでの合計は379社、最も多いのは建設業でした。
ではなぜ違う業種の企業が農業を始めるのでしょうか。
ひとつの背景には農家の数にあります。
2015年に約3万9千人だったのが、2020年には約1万8千人5年間で半減しています。
後継者不足や高齢化で人手が足りていません。
一方、参入する企業側のメリットは建設業など本業が厳しいときに農業をすることで売上が安定する場合もあります。
メリットがほかにも見えてきました。
11年前に参入し、いまでは全国に出荷する建設会社「タカフジ」
愛彩ファームでパプリカなどを作っています。
そのタカフジが感じるメリットは「もともと備わっていたノウハウでハウスの定期メンテナンスも可能、社内で仕事を生み出せる」
さらに愛彩ファームが感じるメリットは「人手不足などで経営ができない農家を見てきた。企業が行えば人材も食も守れる」と話します。
また、2023年度に参入したばかり、東京にある双日農業は国産の加工用野菜を作っています。
農業の会社なので異業種ではありませんが、大分県国東市で玉ねぎの栽培を新たに始めました。
5月下旬ごろから本格的な収穫を開始するそうです。
なぜ大分なのかと言いますと標高差など環境に適しているのが大分に参入した大きな理由です。
会社の担当者は「円安で輸入費が高騰加工用玉ねぎは輸入品が多いため国産を作り、安定した調達につなげたい」と話しています。
農業の活性化や地産地消など大きなメリットも大きいですから、今後も農業の新規参入が進んでいくと思われます。