歳の差のある弟や妹の面倒をかいがいしく見る兄や姉の姿には、大きな愛情を感じるため、SNSでも人気を得ている。13歳差の弟たちに寄り添って眠る15歳(取材時)のお兄ちゃんの動画が、330万回再生を超える反響を呼んだ。一方、10歳以上年の離れた3人の弟たちのお世話を当たり前のようにする13歳(取材時)のお兄ちゃんの動画が、260万回再生を超える反響を呼んだ。そんな様子を見守る2組のお母さんに聞いたエピソードを、改めて振り返る。

◆「いつまで経っても弟たちにくっついています」13歳差の弟への愛情が強い優しい兄

 熟睡する3歳の弟にぴったりと寄り添う2歳の弟と15歳(いずれも取材時)のお兄ちゃん。その微笑ましい様子に「何この可愛いと幸せの大渋滞」「弟愛が伝わる。。」「お兄ちゃんカッコよすぎ」などの声が寄せられ、330万再生を超える反響があった。

 お兄さんは普段は別の寝室で寝ているが、お母さんが弟さんたちを寝かしつけているとふらっと現れて、一通り遊んでから去っていくこともある。

「兄がいなくなると次男は必ず大泣きするので、『仕方ないなぁ…』とか言いながらそのまま一緒に寝ることもあります。もう狭いだけなんですけどね(笑)。いつまで経っても弟たちにくっついています」

 弟さんたちが赤ちゃんの頃からミルクをあげたり沐浴をしたりオムツ替えをしたりしていたほど、お兄さんは“弟愛”が強い。弟さんたちが今より小さかった頃、次男は発達障害があるため、公園で子どもたちにからかわれたことがあったという。

「状況が把握できない末っ子はニコニコと順番待ちをしていて、どんどんほかの子たちに抜かされてしまい…。その様子を撮影して兄に見せたときに、何も言わずにただ弟たちを抱きしめて泣いていました。その日のインスタのストーリーで『人をからかったり差別をしたりするのはやめよう』と呼びかけていました」

 長男はおちゃらけているようだが、根は真面目でリーダーシップもある。次男はまだ上手にお喋りや聞き取りができないことから自己肯定感は低いが、とても心優しい。三男は感性も目線も女子以上のオトメン。そんな子どもたちを育てていく中で、もっとも印象に残っている出来事は、次男が初めて補聴器を付けた時のこと。

「姉兄たちの問いかけに、今までにないくらい目を見開いて何とも言えない表情をした後、ビックリして泣いてしまう弟に、『あぁ、ちゃんと聞こえてるんだ…!』と家族みんなで大喜びしました」

 この一家はステップファミリーで、再婚した2年後に弟が生まれ、その1年後にもう1人が生まれた。23歳の長女や長男が幼い頃は仕事が忙しくて時間を作ってあげられず、淋しい思いをさせてしまったとお母さんは後悔しているそう。

「もう二度とないと思っていた育児をもう一度させてもらっているので、全ての成長を見逃さまいと、後悔しないよう感謝しながら、1つひとつの日常を噛み締めながら育児をしています」

◆3人のお世話をする長男に母は感謝「あなたたちには、最高のお兄ちゃんがいる」

お母さんが夕食の準備をしている時に泣き出してしまった0歳の娘さん。すると、すかさず中学1年生のお兄ちゃんが駆けつけ、娘さんを抱きかかえながら、3歳と2歳(いずれも取材時)の弟ともボール遊びをし始めた。そのやさしいお兄ちゃんの姿に、「保育のプロ級」「中学の多感な時期なのにすごい!」「素敵なお兄ちゃん」などとコメントが寄せられ、260万回再生を超える反響があった。

 この出来事は、末っ子が産まれて1ヵ月経った頃のこと。夕飯の支度中に末っ子が泣き出してしまい、バタバタとしていたら、末っ子が泣き止み、次男と三男の笑い声まで聞こえてきたという。

「キッチンから覗くと、長男が3人のお世話をしてくれていました。その時、思い出として残したくて慌てて撮った動画です。下の子達が大きくなったとき、『あなた達には最高のお兄ちゃんがいるんだよ』と伝えたいなと思いました」

 長男は普段から当たり前のように下の子達のサポートをしていて、「“できないことをできる人がする”と、シンプルに考えてくれていますね」とお母さんは感謝の気持ちを述べる。

 3歳の次男はダウン症のため、発達もゆっくりでまだ話せない。2歳の三男は次男の成長を追い越しているので、兄弟間での年齢は関係ないと考えている。

「次男と三男は生まれたときからずっと一緒にいる双子のような関係性です。言葉はなくとも一緒に笑い合い、たくさん遊んでいます。下の子達からすると長男は大きいので、兄弟というよりは大人のように見ている気がします。なので全力で甘えています!」

 13歳の長男は構ってほしくないオーラを出す構ってちゃん。3歳の次男は慎重派、2歳の三男はビビり、生後8ヵ月の末っ子はよく寝る。そんな4人のお子さんを育てていく上ではいろいろなことがあったが、次男がダウン症だと長男に話したのは、次男が生後4ヵ月の頃だったそう。

「伝えたとき、不安そうに次男の手をそっと握ったんです。もしかしたら、次男は死んじゃうかも…そんな不安もあったのかもしれません。長男も、小さな心でしっかりと考えてくれていたのだと思いました。伝える前も伝えた後も、変わらずに次男を溺愛してくれています」

 次男がダウン症だとわかった時、「お話できないような気持ちにもなりました」とお母さんは振り返る。

「でも、やっぱり我が子は可愛くて愛おしくて。家族がいるから私は強くなれたと思います。子どもたちにたくさんのことを教わっています。大変だし、しんどいときもあって、悩みも尽きないんですけどね。毎日が驚きと感動に溢れています」