豚かたまり肉に塩をすり込むだけで、あとは時間がおいしくしてくれる塩豚。まずは基本に忠実に作ってみてください。使った調味料が塩だけとは思えないほど、豚肉のおいしさが存分に引き出された味わいはまさに口福! 家庭料理のレベルを底上げしますよ。

塩の分量は豚肉の重量の1%が基本。丸3日おいて、4日目に食べるのがベスト!

材料(1個分・作りやすい分量)

豚肩ロースかたまり肉......500g
塩......5g

①量る

豚肉の重さを量り、重量の1%の塩を用意する。★豚肉が500gの場合、重量の1%の塩は5g。塩は精製されたものではなく、旨みや甘みを感じられる岩塩や天日塩などを使うと◎。

②塩をまぶす

豚肉はペーパータオルで水気をしっかりと拭き、塩を全体にすり込む。★豚肉は余分な水分を拭き取り、臭みをおさえて。岩塩や天日塩をすり込むと、かたまり肉の中まで味が入り、おいしく仕上がる。

③熟成させる

②をラップでぴったりと包んでポリ袋に入れ、バットなどにのせる。冷蔵室に入れ、3〜4日おく。★空気が入らないようにラップでしっかり包むと、塩の浸透がよくなる。塩豚から水気が出るので、ラップで包んでから袋に入れ、バットにのせて。

完成した塩豚を茹でる!
「ポッサム」

旨みの詰まった塩豚は、ゆでるだけでごちそうメニューに! ゆで汁に具材をプラスすれば、スープとして再利用できる。

材料(2〜3人分)

塩豚(上記参照)......1個分

サンチュ......約10枚

えごま......約10枚

白菜キムチ......適量

白髪ねぎ......適量

コチュジャン......適量


作り方

① 
塩豚は室温に30分ほどおいて常温にもどし、ペーパータオルで水気を拭く。


深めの鍋に❶を入れ、水をかぶるくらいまで注ぎ、中火で熱する。煮立ってきたらアクを除いてふたをし、弱めの中火にして40分ほどゆでる。火を止め、そのまま粗熱を取る。


❷の塩豚を取り出し、ペーパータオルにのせて水気をきり、食べやすい厚さに切る。器に盛り、サンチュ、えごま、キムチ、白髪ねぎ、コチュジャンを添え、塩豚を包んで食べる。

ゆでた豚肉は、そのままゆで汁の中で冷まして! 豚肉の中に肉汁を閉じ込めることができ、切ったときに溢れ出てこない。

「塩豚のオーブン焼き」

じっくり焼くことで、塩豚はジューシーになり、野菜は甘みが引き出される! 風味豊かな“にらだれ”で、食欲もアップ。

材料(2〜3人分)

塩豚......1個分


じゃがいも......1個

玉ねぎ......小1個

にんにく......2かけ

塩、オリーブ油......各適量

レモンのくし形切り......適量

粒マスタード、マスタード......各適量


にらだれ

にらの小口切り......1/3束(約30g)

長ねぎのみじん切り......5cm分

しょうゆ......大さじ2

酢、砂糖......各大さじ1


作り方

塩豚は室温に30分ほどおいて常温にもどし、ペーパータオルで水気を拭く。オーブンは200度に予熱する。


じゃがいもは皮ごと4等分のくし形に切り、玉ねぎ、にんにくは皮ごと縦半分に切る。


天板にオーブン用シートを敷き、塩豚、❷を並べる。じゃがいも、玉ねぎに塩を軽くふり、オリーブ油をかける。200度のオーブンに入れ、40分ほど焼く。


にらだれの材料を混ぜ合わせる。❸の塩豚を取り出し、アルミホイルで包んで5〜10分おく。塩豚を食べやすい厚さに切って器に盛り、じゃがいも、玉ねぎ、にんにく、にらだれ、レモン、マスタードを添える。

POINT★豚肉は脂身が多い面を上にして焼くと、香ばしく焼ける。野菜は皮ごと大きく切って油をかけ、焼成時の乾燥を防ぐと◎。

「塩豚と大根のスープ」

口の中でほろほろと崩れる、驚くほど柔らかな塩豚に感動。塩、こしょうでシンプルに調味し、素材の味を生かして。

材料(2〜3人分)


塩豚......300g


 


大根......正味300g

塩、粗びき黒こしょう......各適量


作り方


塩豚は室温に30分ほどおいて常温にもどし、ペーパータオルで水気を拭き、ひと口大に切る。大根はひと口大に切る。


鍋に❶、水3カップを入れ、中火で熱する。煮立ったらアクを除いてふたをし、弱めの中火にして30分ほど煮る。味をみて塩で調え、器に盛って黒こしょうをふる。

豚肉、大根は水からゆっくり火を通すと、やわらかく仕上がる。面倒な手間はなく、食材を切って煮るだけでOK。

「塩豚おこわ」

塩豚の旨みを吸ったごはんと、たけのこのサクサク感が最高。ひと口食べたら箸が止まらなくなる、滋味深いおいしさ。

材料(3〜4人分)


塩豚......200g


薄口しょうゆ......大さじ1/2〜1

米、もち米......各1合

三つ葉......適量

たけのこ(水煮)......150g


作り方

米、もち米は合わせて洗い、ざるに上げて10分ほどおき、水気をきる。炊飯器の内釜に入れて水を2合の目盛りまで注ぎ、1時間ほど浸水させる。


塩豚は室温に30分ほどおいて常温にもどし、ペーパータオルで水気を拭き、2cm角に切る。たけのこは大きければ縦半分に切り、3〜4mmの厚さに切る。


③ ❶から水大さじ3を除き、薄口しょうゆを加えてひと混ぜする。塩豚、たけのこの順で広げてのせ、普通に炊く。炊き上がったら上下を返すようにして軽く混ぜ、器に盛る。三つ葉を刻み、のせる。

白米ともち米を混ぜて炊くときは、いつもよりも長めに浸水させて。もち米に芯が残らず、ふっくらと炊ける。

教えてくれたのは…飛田和緒先生
料理家。独自のアイデアをプラスした料理が大好評。ひと口食べるとほっとする、人柄が伝わるレシピにファンも多い。

cooking:KAZUO HIDA / photograph:MIYUKI FUKUO / styling:KANAKO SASAKI / text:HIROKO NAKADA
otona MUSE 2023年 4月号より