ダイエットに効果的な取り組みとして、ネット上でたびたび話題となるのが、1日5回に分けて食事を取る方法です。ネット上では「1日3食から1日5食に食事回数を増やすと、太りにくくなる」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。1日5食にする場合、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

 eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で、自身も1型糖尿病歴30年である、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

血糖値の急上昇を抑制

Q.ネット上では「1日3食から1日5食に切り替えると、太りにくくなる」という内容の情報がありますが、本当なのでしょうか。

市原さん「本当です。1日に食べる量を3等分するよりも5等分した方が、1食当たりの食事量が減り、食後の血糖値の上昇が抑えられるからです。

そもそも、食後に血糖値が上がると、膵臓(すいぞう)から分泌される『インスリン』というホルモンが、血液中の糖分を細胞内に取り込み、血糖値を下げます。そのため、食後に血糖値が急上昇すると、インスリンが過剰分泌され、その分、脂肪が体内に多く蓄積されてしまいます。食後に血糖値が急上昇しなければ、インスリンが過剰分泌されないため、太りにくくなります。

このように、1日の食事回数を5回程度に分け、1回当たりの食事量を少なくすることを『分食』と言います。食後の血糖値の改善やコントロールのために、医師が糖尿病患者に分食を勧めるケースもあります」

Q.では、1日3食から1日5食に切り替える場合、食事は何時頃に摂取するのが望ましいのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。

市原さん「1日5食は『朝→間食→昼→間食→夜』の流れで進めるのが一般的ですが、食事の時間に関する決まりは特にありません。例えば、『朝食:午前7時、間食:午前10時、昼食:正午、間食:午後3時、夕食:午後7時』という形で進めるとよいでしょう。

1日5食に切り替えたときについ食べ過ぎてしまい、1日の摂取カロリーをオーバーすると逆効果なので、分食時には食事を一度残す勇気が必要です。

そこで、1日5食分を都度用意するのではなく、『朝食時にヨーグルトや果物を残し、次の間食時に食べる』『昼食時に主食やおかずを少し残し、次の間食時に食べる』といったように、一部の食べ物を次の食事用に残しておくと、食べ過ぎの防止につながるほか、食事を用意する労力が減ります」

 なお、市原さんによると、「食べる時間がない」「体重を減らしたい」などの理由で朝食や昼食を抜いた後に食事をすると、血糖値が急上昇しやすいということです。体重が気になる場合は、1日5回に分けて食事を取ってみてはいかがでしょうか。