「うちの子は読解文が苦手」「本が好きなのに読解問題になると解けない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

実は、読解力をつけるのに、「ドラえもん」がとてもよい教材となることをご存じですか。

ドラえもんたちは、表情やしぐさとともに、いろいろなことばを使って自分の気持ちをあらわし、また、相手の気持ちを読み取っています。ことばを使ったやりとりを通じて、気持ちや情報を共有し、もっと深く仲良くなろうとしているんですね。

そのことばや文にふれることで、友達や家族と、心の中のいろいろな世界をたくさん共有できるようになりますよ。

*本稿は、『小学生のためのドラえもん読解力をつけることば図鑑』藤子・F・不二雄・原作麻布中学・高校国語科教諭中島克治・監修(小学館)から一部抜粋・編集したものです。


語彙力をつけよう!

読解や表現の基礎となるものは、「語彙」(ことばの集まり)です。特に、「類語」(似た意味のことば)というつながりで、気持ちやようすを表すことばを増やすことは、読解力をつけたり、表現の幅を広げたりするのに大いに役立ちます。

「類語」の他、「反対語」(相対する概念を表すことば)や「同音異義語」(表記によって意味の変わることば)も重要です。

「反対語」は、ドラえもんのひみつ道具「スモールライトとビッグライト」(照らしたものを小さくしたり大きくしたりする道具)の、「スモール」(小さい)と「ビッグ」(大きい)のように、ペアで覚えると楽しいですよ。

「同音異義語」は漢字の意味を理解することにもつながりますので、しっかり押さえておきましょう。


親子の会話で語彙を増やそう!

毎日の会話の中でも、語彙を増やすことができます。

例えば、「暑い・あたたかい」「寒い・涼しい」を表すにもいろいろなことばがあります。

「今日は蒸し暑い」「猛暑日が続くね」「肌寒い朝だね」「空気がひんやりしていて心地いい」

など、ことばを変えて話しかけてみてください。

そして、ぜひご家族で積極的に会話をしてください。

「遠足が楽しみだね。うきうき、わくわくするね。」

「今日ね、お母さん、うれしいことがあって、小おどりしちゃったわ。」

など、感情を表現することばを交えて話しかけてみてください。

もちろん、できる範囲で大丈夫です。

ドリルや問題集で語彙を増やそうとするよりも、ずっと自然に確実にことばを理解し、語彙力アップにつながります。


登場人物の心の中をことばにしてみよう!

語彙を増やしたら、アウトプットにも挑戦してみましょう。

「ドラえもんは、このとき心の中ではどんなことを考えているのかな?」「困った顔で下を向いているね」「本当はどんな気持ちだったのだろう?」と、マンガを読みながら、表情とことばをよく見て、登場人物の気持ちを推理してみましょう。

視覚的にとらえることができるので、読解文に苦手意識を持っているお子さんも取り組みやすいのではないでしょうか。

低学年のお子さんなら、まずはマンガを通して、思考の言語化に挑戦してみるところからはじめると楽しく学べますよ。