ガザ地区への攻撃に対する抗議デモが、アメリカ各地の大学で続いています。 先月30日にはコロンビア大学で100人以上が逮捕されるなど、抗議者の逮捕は1,000人を超えています。 この事態を受けて、バイデン米大統領は演説で「抗議する権利はあるが、混乱を引き起こす権利はない」と述べ、抗議活動が過激化しないように自制を強く求めました。 5月8日放送『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、学生運動が広まってきている理由や、考えられる今後の対応について解説しました。

     

デモを行う理由

そもそも、学生はどのような目的でデモを行なっているのでしょうか?

石塚「ガザで大勢の人たちがイスラエルの攻撃で亡くなっている。
一般の市民もこどもたちも3万人以上亡くなってるっていう話が届いているわけで、それっていくらなんでもひどいんじゃないかと。

きっかけはいろいろあるだろうし、もともと対立してるのもわかるけど、今回のことだけ取り上げるといくらなんでもひどすぎませんかと、アメリカの若い人たちが抗議の声を挙げていると。

アメリカ全土で40、50校ぐらいの大学に広がっていて、今は逮捕されている人は2,000人以上ですね」

デモが広がったきっかけ

ガザ地区への攻撃に抗議しているのはもちろんですが、石塚はこのデモが大きくなったのには他にも理由があると言います。

石塚「今回の問題が大きくなっているきっかけになったのは、先月中旬にニューヨークのコロンビア大学で学長が警察を動員したんですね。

ご存知の方も多いと思いますが、大学の自治という言い方もあって、簡単に警察を入れない、学問の場なのでちゃんと研究もできるし、言いたいことが言える場なんだということが言われていたのに、本当に警察を入れる。

学生はハミルトンホールという建物を占拠したり、建物を壊して中に入って若干過激にはなっていた。
この映像が全米に流れると『抗議の声を挙げただけで警官隊を入れるなんて』という話で火がつくということに今なってるんですね」

抗議する側にも事情が

さらに石塚はアメリカ特有の事情にも言及します。

石塚「ユダヤ系の企業ってアメリカですごく力を持っていて、お金も持っている。
大学の運営って、ユダヤ系の企業の寄付で成り立っているところもあるんです。

そうすると、寄付や投資をしてくれた企業の先にユダヤ系の企業が圧倒的に多いわけです。実は大学側も強く言えない。

学生が『イスラエルはおかしいぞ!』と声を挙げた時に、大学側は『それはちょっと待て、止めろ』と言わざるを得ないという裏事情もあると言われている」

ただ、この運動を行なっている学生は全体の一部である、学生ではない人も参加しているという見方や、アメリカの混乱を強めたい中国やロシアがSNSで煽っているという見方もあり、単純な抗議ではないのかもしれません。
(岡本)