全国には「ジーンズの街」や「タオルの街」と呼ばれる地域があるが、「鞄の街」があるのをご存じでしょうか?それは兵庫県豊岡市。奈良時代から始まる柳細工を起源とし、江戸時代には柳行李(ヤナギコウリ=柳で編んだ箱型の入れ物)で栄え、大正以降は新素材の採用とミシン縫製技術の導入で鞄の生産地となって、今や「日本製の鞄」を生産する拠点として注目を集めている街なのです。記者は7年ほど前にコウノトリの取材で豊岡市を訪れたことがありますが、街中には鞄の自販機があったり、鞄クリエーターを育てるスクールがあったりと、街のいたるところに何かしらの“鞄”に関するものがあるのが印象的でした。

そんな、鞄づくりにおいて1200年の歴史をもつ豊岡鞄ですが、他の伝統工芸品や地方のものづくり産業と同様に昨今の少子高齢化の進行を原因とする後継者不足が問題になっているそうです。そこで今回、兵庫県鞄工業組合では子どもや未来のものづくりの担い手に、ものづくりの魅力を伝え、その楽しさを感じてほしいという思いを込めて『豊岡鞄とつくる「夢のかばん」プロジェクト 2024』を発足することに。5月16日(木)には東京KITTEにて発足式が開催されました。

プロジェクトを代表して挨拶する兵庫県鞄⼯業組合副理事⻑のマスミ鞄嚢(ほうのう)代表取締役 植村賢仁氏。

兵庫県鞄工業組合「豊岡鞄」シナジープロジェクト委員会委員長の株式会社ナオト代表取締役 宮下栄司氏によってプロジェクトの発足が宣言されました。

発足式が無事に終了した後は、この日のために選ばれたちびっ子たちによるワークショップが開催されました。

ワークショップの第一部はミニチュアボストンバッグ制作。あらかじめ型抜きされた皮を組んでいくと小さなバッグが出来上がり。みんな楽しそう。

第二部は「夢のかばん」をちびっ子たちが自由な発想でデザイン。みんな思い思いのかばんを画用紙に描いていました。

描き上がったデザイン画を手に、参加者全員で記念撮影。今回ちびっ子たちが描いたデザインは、豊岡鞄のプロジェクトチームによって実際に鞄として製作して、描いた本人に贈呈されるそうです。今回の体験がきっかけで将来、鞄職人を志すちびっ子たちがいるかも。期待してその時を待ちたいですね。