2024年4月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●4月
【自然災害】台湾でM7.7の大地震発生、日本にも津波到達
[被害]死者17人 負傷者1000人以上
2024年4月3日07:58頃(日本時間3日08:58頃)、台湾東部沖を震源とするM7.7(日本の気象庁発表)の地震が発生し、震源に近い花蓮県で震度6強を観測した。この地震で、23日時点までに花蓮市を中心に17人が死亡、1000人以上が負傷したほか、トンネルや倒壊した建物に人が閉じ込められたほか、大規模な土砂崩れも発生した。交通機関やライフラインでは、首都台北市郊外の新北市を走るMRT環状線の線路と高架橋がずれ、1編成が脱線したのをはじめ、台湾新幹線や台湾鉄道にも一部影響がでたほか、台湾全域で停電になるなどの被害がでた。
また、この地震に伴って台湾のほか日本やフィリピンなど周辺国でも津波警報が発表された。日本には最大3mの津波の到達が予想され、沖縄県与那国島と宮古島で30cm、石垣島で20cmの津波を観測した。
台湾ではこれまでも大きな地震がたびたび発生している。1999年に起きたM7.7の地震では、死者は2400人、負傷者は1万人を上回った。今回の地震は過去25年で最大級の規模で、3日の本震以降も22日から23日にかけて余震とみられる地震が相次ぐなど、ひと月経っても影響は続いている。

【自然災害】アラブ首長国連邦など中東各地で豪雨、死者多数
[被害]死者100人以上
2023年4月、アラビア半島およびオマーン湾周辺では、豪雨の影響により各地で大きな被害が発生した。
アラブ首長国連邦では、4月16日に記録的な豪雨を観測した。アブダビ首長国東部にあるアル・アインでは16日の24時間降水量が254mmとなり、1949年の観測開始以来最多の雨量を記録した。また、ドバイ国際空港では12時間で年間降水量に相当する100mm近くの雨量が観測された。同空港では離発着が一時停止し、ダイヤが大幅に乱れ、搭乗手続きを停止する航空会社もあった。滑走路や空港周辺の道路では冠水が発生し、混乱は翌17日も続いた。ラアス・アル=ハイマ首長国では車に乗っていた70代の男性1人が死亡した。
この豪雨は周辺国にも被害を与えており、アラブ首長国連邦の隣国オマーンでは少なくとも19人が死亡したほか、オマーン湾を挟んで対岸にあるイランでも3人が死亡した。また、イランと接するアフガニスタンでは約70人が、パキスタンでは60人以上がそれぞれ死亡した。

【自然災害】アフリカ東部ケニアで豪雨による鉄砲水が発生
[被害]死者45人以上
2024年4月29日04:00頃(日本時間同日10:00頃)、ケニア・リフトバレー州南部のマイマヒウ近郊で鉄砲水が発生し、死者は少なくとも45人にのぼった。鉄砲水は当初、ダムの決壊によるものとみられていたが、その後の調査で、鉄道の下を通る河川用のトンネルがせき止められたものが豪雨で決壊したため発生したことが判明した。
ケニアのある東アフリカでは3月から5月にかけては年に2回ある雨期のうち1つにあたる。今年はエルニーニョ現象やインド洋ダイポールモード現象の影響を受け、ケニア各地で平年を上回る降雨量を記録している。そのため同国内各地では豪雨や洪水が断続的に発生し、3月から4月末までの間に120人以上が死亡した。また、隣国タンザニアでも同じように3月から4月にかけての豪雨で150人以上が死亡しているほか、ブルンジでも被害が発生している。