Michael S. Derby

[1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は1日、バランスシートの縮小ペースを減速させると発表した。

6月1日から月間で最大600億ドルの米国債の縮小ペースを250億ドルに引き下げる。一方、住宅ローン担保証券(MBS)の縮小ペースは月間350億ドルで維持する。

縮小ペースの減速は市場で広く予想されていたが、今回のFOMCで発表されるのか6月のFOMCで発表されるのかに関しては見方が分かれていた。また、市場では米国債の縮小ペースを300億ドルに引き下げるとの見方が大勢だった。

パウエルFRB議長は記者会見で、新たな上限設定によりバランスシート全体の実際の縮小幅は月400億ドル程度になる可能性が高いと説明。特にMBSで上限に達しないことが頻繁にあると示唆した。

キャピタル・エコノミクスの北米チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏は、米国債の縮小ペース引き下げについて「予想よりもやや積極的だった」と述べた。

パウエル議長は、縮小ペースを減速させることにより、前回のバランスシート縮小時に見られた市場混乱のリスクを軽減することが可能と改めて指摘。縮小ペースの減速でバランスシートの最終的な規模に「より緩やかに」到達できるとした。

縮小ペースの減速は現時点で市場に大きな影響を及ぼしていないが、エバーコアISIのアナリストは、量的引き締め(QT)の鈍化は「利回りに下押し圧力をかけ、5%に向けて上昇するリスクを軽減するという予期せぬ効果をもたらす」と述べた。

FRBはQT完了後のバランスシート目標をまだ示していない。ニューヨーク連銀が先月発表した報告書によると、流動性に対する市場の需要がQT終盤の主な要素となり、2025年のある時期に終了する可能性が高く、保有残高は6兆─6兆5000億ドルとなる可能性がある。