朝倉香絵さん(右から2人目)と中村幸男さん(右)から小説を受け取り笑顔を見せる生徒たち=鹿島市の鹿島東部中

 鹿島市浜町に移住し創作活動を行う脚本家・岩清水緑風さんと小説家・朝倉香絵さんが、国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に選定されている肥前浜宿などを舞台に執筆した小説「有明の月」の冊子を市内の中学、高校などに寄贈した。酒蔵の一人娘の成長物語で、鹿島や県内の魅力まで掘り起こしている。

 全国を旅しながら、その土地の物語を創作してきた2人は2022年3月に同市に移住。伝建地区「浜庄津町浜金屋町」の旧橋本家住宅に「スタジオ有明の月」を構え活動している。

 小説は、毎週発行するパーソナルメディア「有明の月新聞」で23年1月から連載。酒蔵の一人娘の高校1年生が、移住者が立ち上げた小説塾で学びながら成長していく姿などを描いた。地域での綿密な取材をベースに執筆しており、朝倉さんは「地元に居ては気付きにくい鹿島の魅力を再発見してもらえれば。少女が内面、外面を磨いていくストーリーで、女子生徒に読んでほしい」と話す。

 鹿島東部中には朝倉さんと執筆に協力した浜町区長会の中村幸男会長が訪れて11冊を贈った。生徒を代表して受け取った生徒たちは「身近な場所が登場し親近感がある。じっくり読みたい」と目を輝かせた。

 市民図書館、市民交流プラザ「かたらい」、公民館などにも寄贈した。スタジオ有明の月で千円で販売している。問い合わせは同スタジオ、電話090(9531)6391。(市原康史)