福山隆志さん(中央)から助言を受ける岡本京香さん(左)、吉田彩笑さん=唐津市の市障がい者相談支援センター「りんく」

 唐津市の唐津南高食品流通科の生徒が、災害時の避難生活を支える災害支援食のレシピづくりに取り組んでいる。限られた食材でも栄養があり、簡単で、安心感を与えられるメニューを目指している。完成したレシピは避難所などでの活用に向け、市など関係機関に提案したい考えだ。

 レシピづくりを進めているのは、3年の吉田彩笑(さえ)さん、2年の岡本京香(けいか)さん。子ども食堂の運営に関わる中で災害備蓄食を食べ、「おかゆがおいしくない」と感じたことがきっかけになった。

 昨年7月に唐津市浜玉町で土石流が発生するなど災害が頻発しており、「食についての学びを生かしたい」と12月から取り組み始めた。同校の商品開発プロジェクトで関わりがある西九州大の福山隆志健康栄養学部長、NPO法人唐津市子育て支援情報センターが協力している。

 市内で災害が発生したことを想定し、市内のスーパーで調達できる材料で主菜、主食、副菜、デザートの献立を考えている。災害時の非常食や支援物資の多くはパンなどの炭水化物。避難生活が長期化している能登半島地震の被災地でも栄養の偏りが指摘されており、カルシウムやビタミンなどを補給することを意識している。

 13日にはいりこと梅干し、お茶を入れた後の茶葉を使った混ぜご飯を試食した。福山学部長は「避難生活で不足しがちな野菜の栄養や食感を茶葉で補っており、いい着眼点」と評価した。レシピは年内に完成させる予定で、2人は「唐津でもいつ長い避難生活が訪れるか分からない。子どもから高齢者までが笑顔になれる献立を考えたい」と抱負を語った。(松岡蒼大)