大相撲夏場所はきのう千秋楽を迎え、新入幕から3場所目の大の里が初優勝を飾った。幕下付け出しから所要7場所での優勝は史上最速。強かった◆「絶対王者」だった横綱白鵬の引退から約2年半。春場所で新入幕優勝を成し遂げた尊富士(たけるふじ)と共に、角界の未来を担うスターの誕生だ◆脚光を浴びた大の里とは別に、これから注目していきたい力士がいる。武雄市北方町出身の元村康誠(こうせい)さん(15)である。5年前、相撲の全国大会「白鵬杯」で技能賞を受賞した。体重が2倍を超える相手に振り回されながらも驚異的な粘り腰で勝利した。当時、その一番をインターネットで見て感動した◆元村さんは5年を経て身長は約160センチに伸びたが、新弟子検査の合格基準を満たさない。それでも、小さな体格の入門志望者を対象にした2次検査で角界入りを果たした。今場所は前相撲だったが、次の名古屋場所から、しこ名の「琴元村」が番付表に載る◆大相撲は実力勝負の過酷な世界。序の口、序二段までは下駄(げた)だが、三段目に上がれば雪駄(せった)になる。まずは雪駄を履くことが入門の頃の最大の夢といわれる。名横綱の一人、故・千代の富士は「自分にだけは負けないこと」を信条とした。小柄な体をスピードで補い、強かった。元村さんも持ち味を生かし、目の前の目標を一つずつ。応援しているよ。(義)