――毎月ピエール瀧さんと一緒に公園の魅力を探求していく「ファンキー!公園」! 第5回は調布市・「鬼太郎ひろば」に来ました。2015年に亡くなった、調布市名誉市民の漫画家・水木しげるさんの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターのオブジェや遊具が楽しめる公園で、2019年に開園しました。かなり新しい公園です。 (C)水木プロ
ピエール瀧
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1967年、静岡県出身。1989年に、石野卓球らと電気グルーヴを結成。音楽活動の他、俳優、声優、タレント、ゲームプロデュース、映像制作などマルチに活動を行う。
近著は「ピエール瀧の23区23時 2020-2022」(産業編集センター)。
ほぼ等身大の鬼太郎の像を見に来るだけでも、価値がある
水木先生が、調布市にずっと住んでたんだよね? 水木プロもここにある、と。でも、俺はここに来る権利あるよ!「モノノケダンス」(2008年にリリースされた電気グルーヴのシングル)のジャケットも、水木先生に書いてもらったからね。アレは京極夏彦先生も褒めてくれたんだから(笑)。
――では、入ってみましょうか。公園の石銘板の裏に、開園協力者がたくさん書いてありますね。
これは何、クラウドファンディングじゃないけど、お金出してくれたってことか。個人もいれば、靴屋さんとか不動産会社もあるな。
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何か目立つ人、知ってる人とかいるかな? 1人ぐらいいそうだけど……いないか。でもこういう人たちの尽力で、ここにできましたよと。
――そして早速、鬼太郎の像がありますね。
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ちゃんと「寄贈東映アニメーション株式会社」って書いてあんね。それにさ、ちゃんと水木タッチじゃん。テレビアニメじゃない方っていうか。しかもこれ等身大じゃない?
――鬼太郎は身長130㎝なんで、そうですね。ほぼ等身大じゃないでしょうか。
だとしたら、このクオリティのフィギュアを見に来るだけでも、価値あるよね。いやでも分かるわ、さっきから写真撮りに来てる人とかいるもんね。パッと見、公園ていうか「フィギュア置いとく場所」って感じだな。
――瀧さんが『ゲゲゲの鬼太郎』を初めて観たのっていつですか?
小学生の頃。漫画じゃなくてテレビアニメの方だけど。鬼太郎がさ、黄色と黒のしましまのカマボコにされちゃう回だったんだよ。それをすごい覚えてる。やっぱその、ヒーローが負けたりとかされるとショックな上に、カマボコにされちゃうっていうのが衝撃で。でも、水木先生の漫画で一番好きなのは『のんのんばあとオレ』かな。結局、水木先生自身が一番面白くない?っていう。あのベンチに座ってるのは何?
――やまびこですね。
で、ここに座ってるのは、ぬらりひょんか。
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ぬらりひょんは渋すぎない? 他はみんな人懐っこそうなやつなのにさ。
―― 一応、妖怪たちの親玉ですから。
そうだけどさ。でも、藤棚になってるのはポイント高いよ! この公園、あんまりベンチないよね。だから、おじいちゃんおばあちゃんが孫を連れてきたとき、もうここに座って子供を見とく、と。そうなるとはまりますねっていう。お、こっちには河童の三平が! これもよくできてるね〜。
なじみのない子供からしたら、押し売り感が否めない?
そしてハイ、来ましたぬりかべ。
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クライミングできる様になってんね。秒で頂上だけど(笑)。ぬりかべってさ、身長どんなもん?
――大きさを自在に変えることが出来て、最長3mまで体を伸ばせるみたいです。
そっか、それならこんなもんか。これ、後ろもよく出来てる。ぬりかべの後ろなんて見ることないからいいね。まあでも、やっぱただの壁なんだな(笑)。お、水場に、妖怪が遊んでた跡があるね。サングラス、箸、アイスの棒、反射板……。なんかほら、無垢な妖怪が集めそうな感じがする。
――こっちがトイレなんですけど、ここもねこ娘がいたり、ねずみ男がいたり。色々キャラクターが外壁に描かれてます。
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本当だ。で、ここが鬼太郎の家か。
――家が滑り台になってて、ちゃんと妖怪ポスト5もありますね。
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そういえば調布駅の近くにさ、妖怪ポストの形した郵便ポストあるよね。
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俺、車で通った時に見たことあるもん。これ家入れるのか、ちゃんと目玉おやじもいるね。ここは雨宿りにいいわー。災害のときの避難所になったときに、誰がここ取るんだろう? そうなったら本部だろうねここは。
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――でも「飲酒・喫煙禁止」って書いてありますね。そりゃそうか。
そうね、いい感じに日陰もあるし、地元の子とかが夜集まっちゃいそう。そして最後が、一反もめん。これはベンチ? これいいね! 立ってもいいし、座ってもいいけど、やっぱまたがるのが一番だよね。
そんで、あそこから京王線が見えるわけか。調布駅って、地下にもぐるの?
――2012年に地下化されました。
そうなんだ。てことは、俺たちは線路の上で遊んでる、ってことになんのか。電車好きな子供は、ここから見ると楽しいだろうね。ちょっとでも、さすがにここまでやられたら、子供にしてみたら「鬼太郎」の押し売り感が否めないかも(笑)。今の子供、鬼太郎のアニメまでなかなかたどり着かないんじゃないかな?
――ただ、今年(2023年)の秋も『ゲゲゲの鬼太郎』新作アニメが公開されるみたいですけどね、映画で。
現代版? へー。ここはじゃあさ、やっぱコスプレして遊びに来るべきだよね。3、4歳の男の子を持つ親は、速攻で黒と黄色のチャンチャンコを作ってさ。下は普通の服だから、ユニクロとかのグレーのシャツと短パンでいいじゃんか。それで下駄履かせて、ここに連れてきて写真を撮ると。これじゃない? 女の子だったら、ねこ娘の格好さしてさ。リボンと赤いスカート履かせて連れてきて、それで写真撮るといいんじゃないの。そんで、大人はどの格好で来るべきかな?
――やっぱ、あの出っ歯のサラリーマンじゃないですか?
スーツ着て、丸い眼鏡して、っていう水木キャラの口がこうとがってるヤツね!そうだね。そういう、水木キャラのやつで来ればいいんじゃないかな。
鬼太郎ひろば Data
ミュージアム度 ★★★★☆
フォトジェニック度 ★★★★☆
コスプレ子供と来たい度 ★★★★★
水飲み場:あり トイレ:あり
自販機:なし 灰皿:なし
※駐車場なし
鬼太郎ひろば
住所:東京都調布市下石原1-58-5/営業時間:入園自由/定休日:入園自由/アクセス:京王電鉄京王線調布駅から徒歩12分
構成=カルロス矢吹 撮影=横井明彦
『散歩の達人』2023年7月号より